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「ここじゃあせまいのぅ…場所を変えて遊ぶかのぅ」
刀を振りかぶり、床を蹴りあげた瞬間
目の前の鬼が突然壁に手を当てた。
「何を_____」
その瞬間、身体がぐらりと傾いた。
思い切り身体を床に打ち呻き声をもらす。
「さぁ早く起きるんじゃ。遊んでおくれ」
奴の声が聞こえすぐに身体を起こし辺りを見回す。
「え…?」
そこは淡く発光している壁に囲まれた、謎の空間だった。
目の前では、鬼がニコニコしながら首を傾げている。
この鬼の血鬼術?
とにかく早く倒してここから出ないと___
「雪の呼吸 壱ノ型、雪結晶」
身体を捻り刀を振るう。
が、それは鬼の肉を抉ることなく空を切った。
「嬉しいのぅ、嬉しいのぅ。子どもはやっぱり楽しいのぅ」
笑顔で私の周りを駆けるその鬼の動きは速く、何度刀を振り下ろしても斬撃が届かない。
それにこの空間は酸素が薄いのか、呼吸も充分にすることが出来なかった。
「もう終わりかの?」
「あ"ぁ"!!」
今度は突風に身体を飛ばされ、壁に背中を打ち付けてしまった。
まずい、このままではこの鬼を倒せない。
恐らくここは異空間だろう。
完全に現実と遮断されてしまっている。
どうすればいい?
どうするべきなの?
鬼の動きが速すぎて自分の身体がついて行かない。
呼吸が充分にできる環境なら、まだ追いつけたかもしれないのに…
「このままずっと遊んでいたいのにのぅ。せめてお主が子どものままでいられるように、余が食べてあげようかのぅ」
子どものまま、か。
そういえばこの鬼、見た目は子どもなのに話し方は年寄りのようだ。
何かが胸に引っかかるような感じがする。
異様に子どもに執着する理由が、少しだけ垣間見えたような…
「お主も歳を取るのは嫌じゃろう?皺が増えるのは嫌じゃろう?遊べなくなるのは嫌じゃろう?」
鬼の気配が、少し変わった。
なんだろう、醜い嫉妬の心が溢れ出ているようなこの感じ。
あぁ、そうか。
この鬼は囚われているんだ。
「あなた、本当は子どもに焦がれるだけのおばぁさんなのね」
哀れみを込めて放ったその一言に、目の前の鬼は目を見開いた。
「誰がババアじゃ…!!」
ボロボロと皮膚が崩れ落ちていき、その姿は醜い老婆へと変貌していく。
それと同時に、私の周囲も荒野へと変わっていた。
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みーた(プロフ) - 麗羽さん» 泣かないでぇ(´;ω;`) (2019年10月12日 21時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
麗羽(プロフ) - 普通に泣きました……( ;∀;) (2019年10月12日 13時) (レス) id: 835b4d5769 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - みーたさん» ありがとうございます! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 483e5f8c50 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - ちぃさん» 申し訳ございませんでした!すぐにルビをふってまいりますので少々お待ちください! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - おさるさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーた x他1人 | 作成日時:2019年9月29日 20時