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森を抜け、階段を上がり神社に辿り着いた。
拝殿の前で手を合わせている二人を見つけ、急いで駆け寄る。
「二人共!」
「あ、さっきの!」
「お前も肝試ししに来たのかー?」
怪我のない二人の様子を見て、ひとまず胸を撫で下ろす。
隊服のポケットから、藤の花の花弁が入った小さな袋を取り出し、二人に手渡した。
これは以前師匠から鬼避けにと貰ったものだ。
「私は今からこの奥の方に行くから、二人はここで待ってて。もし化け物が出たら、この袋をそいつに当てて逃げるの。いい?」
「急に何言ってんだよ!」
「お願い、とにかくここにいて」
そう言ってから、二人の頭に手を乗せる。
多分鬼は来ない。
本堂以外からは鬼の気配はしないし、藤の花の守りも持たせた。
「仕方ねぇな!さっさと戻ってこいよ」
「ちびんじゃねぇぞ!」
笑顔で頷いた二人に手を振ってから、鬼の気配を辿って本堂の裏口へ回る。
多分、こいつは今まで対峙したどんな鬼よるりも強い。
しかし、あの二人や師匠、村の人が待っている。長引かせる訳にはいかないのだ。
建物内に入り、鬼の気配を辿って廊下を走る。
「また子どもが来た。嬉しいことじゃのぅ」
「ッ!」
突然、背後に鬼の気配を感じた。
視界の端に幼子の姿をした鬼が映る。
刀を抜き振り返れば、既にその鬼の姿は無くなっていた。
次は天井…!!
「まさかお主、鬼狩りかの?」
ニコニコと笑いながら、目の前の鬼は首を傾げた。
可愛らしい容姿をしているが、完全に異能を使う鬼だ。
それにこの気配、間違いなく子どもを百人は食っている。
「えぇそうよ。あなたを殺しに来たの」
「そうかいそうかい。それは嬉しいことじゃ」
笑顔を絶やさずに、その鬼はうんうんと頷いた。
…次の瞬間。
「!?」
鬼の指先から、見えない風のようなものが起こった。
左頬に、僅かな痛みが走る。
瞬時に避けようとしたがかすったようだ。
「子どもの反射神経は良いものじゃのう。もっと見せておくれ」
ぞくり、と背筋に悪寒が走る。
それを掻き消すように両手で刀を握りしめ、私は目の前の鬼を見据えた。
「ごめんなさい、私は子どもじゃないのよ」
だから、こいつなんて直ぐに倒せる。
何も怖いことなんて、ない。
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みーた(プロフ) - 麗羽さん» 泣かないでぇ(´;ω;`) (2019年10月12日 21時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
麗羽(プロフ) - 普通に泣きました……( ;∀;) (2019年10月12日 13時) (レス) id: 835b4d5769 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - みーたさん» ありがとうございます! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 483e5f8c50 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - ちぃさん» 申し訳ございませんでした!すぐにルビをふってまいりますので少々お待ちください! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - おさるさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーた x他1人 | 作成日時:2019年9月29日 20時