第4話 ページ4
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漂が王宮に来てから一ヶ月が経った今、成蟜一派の反乱がいつ起きてもおかしくない状況になっていた。
「あまり時間がないな」
贏政様が静かに筆を置いた。
漂に渡す地図を書いていたらしい。
すると、彼は何かを考えるように視線を落とした。
一体何を思っているのだろうか。
「不甲斐ない王で申し訳ない」
僅かな沈黙の後の贏政様の一言に、私は首を傾げた。
不甲斐ないとは、どのような意味だったか…
「どうか謝らないで下さい。贏政様は不甲斐ない王ではございません。とてもご立派な、私の光にございます」
真っ直ぐに贏政様を見つめる。
贏政様は少し呆れたように表情を緩めた。
「お前という奴は本当に…」
「大王様!」
贏政様が何かを言いかけた時、切羽詰まったような顔の昌文君が部屋に飛び込んできた。
一瞬にして空気が緊迫する。
まさか…
「成蟜一派の反乱が…!!」
とうとうきたか。
脇に置いていた剣を持つ。
「昌文君、手筈は整っているな」
「もちろんだ」
昌文君はしっかりと頷いた。
大丈夫、計画は万全を期している。
「では我々は先に行きます。贏政様、どうかご無事で」
「あぁ、お前もな。合流地点でまた会おう」
昌文君が贏政様から私に視線を移した。
「A、贏政様を頼むぞ…」
「あぁ、当たり前だ」
しばしの別れの挨拶を済ますと、昌文君は部屋を出ていった。
その背中に健闘を祈る。
「さぁA。俺達も行くぞ」
「はい、贏政様」
頼もしい後ろ姿に続き、私も歩き出した。
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心(プロフ) - 初めまして★今更キングダムにハマり初見させて頂きました!更新楽しみにしています! (2022年8月11日 12時) (レス) @page17 id: 8b8beb8b4b (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 面白いです!更新頑張って下さい! (2020年5月30日 21時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
Yui(プロフ) - 続き気になります!更新楽しみに待ってます! (2019年12月9日 0時) (レス) id: 7c69be82b3 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年7月11日 23時) (レス) id: d46901af11 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - みずきさん» ありがとうございます!頑張ります (2019年5月14日 20時) (レス) id: 11eeccd4df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Ria x他1人 | 作成日時:2019年5月5日 16時