343 ページ43
〜拓真〜
拓真「……は?鈴風様の工房をお嬢様に譲った?」
この人は本物のバカなのか?
工房を譲るということが、どういう意味なのか理解していない
拓真「喜んでいると、思っているんですか」
雄司「当然だろう?Aは鈴風のことが大好きだったし」
拓真「はぁぁーー」
雄司「何だ?そのため息は」
拓真「嬉しいとは思いますよ。ですが、きっと……旦那様が求めているのは自分ではなく鈴風様なのだと勘違いしています」
雄司「私はあの子に純粋に喜んで……!!」
欲しかった、とまでは言わなかった
どっちにしても喜んでないけどな
旦那様は矢河の頂点に立つ優秀なお方
毎日のように仕事が忙しく、家にほとんど帰らない
何不自由なく過ごせるようにお嬢に金だけは自由に使えるようにはして
あの頃の旦那様は本当に分かっていなかったんだ
金だけあっても家族としての信頼なんて築けないと
何も分かってなくて何も知ろうとしない
表面上しか見ないから、現在進行形で犯している己の過ちにも気付かない
ま、今は大分マシになってきたが
お嬢も旦那様に歩み寄ろうとはしているものの、鈴風様を入院させなかった本当の理由を知らないままだから溝が埋めることはない
雄司「工房のことは後日Aから聞くよ。それより連続殺人。大丈夫だろうな。Aが狙われでもしたら」
拓真「大丈夫です。何かあっても守りますから」
雄司「それは何かある前提の話しか?はぁ、拓真。私は明日から海外出張なんだ。守ってくれよ。私はもう、家族を失いたくないからな」
もう……泣く姿を見たくない
何も出来なくなるほど、それこそ生きていられない絶望を二度も味合わせたくない
拓真「矢河の娘に手を出す愚か者はいませんよ。安心して下さい」
雄司「私の娘に甘い蜜を求めて近寄ってくる害虫はいるがな」
アルフレッド様のことか?
あの人は純愛だから違う
甘い蜜、となると……あぁ、金目当てに群がってくる害虫か
メガネと金髪も純愛ではあるものの、重い
拓真「あの方は日本に呼ばないのですか」
雄司「来ないだろ。どうせ」
拓真「それは旦那様とリリック様がバカにしたように“ホームズ”と呼ぶからでは」
雄司「尊敬の意を込めてるが」
拓真「伝わってなければ意味ないですよ」
旦那様が日本を発てば家のことも会社も、俺が主体となる
その期間だけは給料5倍に跳ね上がるから、やる気は出る
157人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まゆ(プロフ) - コメントありがとうございます!ネタが思いついたときにしか更新してないので、時間かかってしまいますが、こうして待ってくれてる読者様がいてくれると頑張れます!! (7月23日 22時) (レス) id: c462f277ab (このIDを非表示/違反報告)
礼 - めっちゃ面白かったです。続きが楽しみで仕方ありません。余力がある時に続きを書いていってくださると読者としてとても嬉しく思います。頑張って下さい。 (7月23日 22時) (レス) @page30 id: 3d2eda965f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まゆ | 作成日時:2022年12月28日 0時