二十一話 ページ21
「落ち着けるわけ、ないやん…ずっと、忘れられなくて、どうやっても頭から消えなくて」
「その度に、俺あいつのことほんまに好きやったんやって。今も、好きで」
「.......会いたいんや、Aに。お願いやから…！」
声に出せば、気持ちはどんどん溢れ出す。
会いたい。
その思いが膨らんで、胸を刺した。
「…大先生」
「うん」
「あいつが子供出来たって言ってきたときな」
「うん」
「すっげえ怖がってた、不安で、悲しそうで」
「うん」
「でもな、」
トントンの声は落ち着いていた。
そして、区切られた言葉の先に俺は目を見開く。
「幸せそうな顔してたんやで。あいつ」
「.......え」
「好きな人の子だから諦めたくないって、言ってたんやで」
「かわいい妹なんや。幸せになって貰わないと困る」
そう言って、トントンは一枚の小さな紙を差し出した。
「これは、」
「Aの家や。次泣かせたら、許さへんで」
「.......ありがとう」
そのまま俺は店を飛び出した。
早く、一秒でも早く。君に会いたい。
飛び出す背中を見送ったトントンは深く息をついた。
「はあ〜...なんで言ったん。Aが望んでないのはわかるやろ」
「もちろん分かってますよ。俺に住所教えてくれへんのもそのせいでしょうし」
「じゃあなんで」
「俺も、あの二人には幸せになってもらわな困るんですよ」
そう言ったショッピは揶揄うような顔をしてトントンを見る。
「というか、あの紙。トントンさんだってそのつもりやったんやないんですか」
少し気まずそうに頷いたトントン。だがそれもすぐに穏やかな笑みに変わる。
そんな2人を見て、事情を知らないゾムが声を上げた。
「えっ、と〜.......どういうことなん？」
その声にトントンとショッピは悪い顔をして笑った。
「(どうか、あいつらがまた一緒に笑えますように)」
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野々宮蓮花(プロフ) - 114514さん» わ〜〜！！！嬉しいお言葉、ありがとうございます…！こちらも読んでくださってありがとうございます…！比翼連理合わせてこそ…と思って書いておりましたので、こちらにも触れていただけて本当に嬉しいです。こちらこそ、ありがとうございました…！ (2020年9月16日 22時) (
レス) id: 720637d64b (このIDを非表示/違反報告)
114514(プロフ) - 前作にとても惹かれて連理の方も読ませて頂きました…前作では見えなかった彼の想いが繊細にリアルに書かれていて重ねて読むことで尚更胸の奥を抉られるような切なさがありました…凄く好きなシリーズです。素敵な話をありがとうございます… (2020年9月16日 20時) (レス) id: 8149499a76 (このIDを非表示/違反報告)
野々宮蓮花(プロフ) - すみれいんさん» 2作共にお読みくださりありがとうございます！！まさにそれを狙っていたので、そう言ってくださってとても嬉しいです…；；本当にありがとうございました！ (2020年7月9日 22時) (レス) id: 720637d64b (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - めちゃくちゃ良かったです。飛べない方では先生の心情？内心？か分からなかったのでまさかこのお話でわかるとは…と思いながら読ませていただきました！この時こんな感じやったんや…なるほど…となっておりました！完結おめでとうございます◯¬！ (2020年7月9日 22時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
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