思考は似るもの ページ18
奥へ進めば、おみやげコーナーがあった。
なんとなく眺めていると、ある一点に目が止まる。
「かわいい…」
ふらふらと近寄れば、そこにあったのはペンギンのヒナのぬいぐるみ。
もふもふとしたそのフォルムに手が吸い寄せられていく。
つぶらな瞳は「連れて帰って」と訴えかけるようで、買う以外の選択肢はもう見当たらなかった。
ぎゅっと抱きかかえながらおみやげを見ていると、後ろから声がかかる。
振り返れば同じようにぬいぐるみを抱えたトンちゃんがいた。
かわいい。
「トンちゃんほんまにかわいいな…？」
「何言うてんねん。かわいいのはお前やろ」
訳が分からん、とでも言うような表情で私の呟きに反応したトンちゃん。
この男、無自覚に私の心臓を突き刺してくるあたり非常に危険である。
トンちゃんの後ろについてレジに並んでいると、ひょいと、抱えていたぬいぐるみはあっさり奪われた。
さっと2つまとめてお会計をしてしまったトンちゃんをぽかぽかと叩き抗議する。
「自分で買うつもりやったのに…ちゃんと出すで」
どうにもこういうのは慣れなくて。
嬉しさよりも申し訳なさが勝ってしまう。
トンちゃんは私の複雑な顔を見て、にっこり笑いながら袋を差し出した。
「今日はお祝いだからええねん。な？」
「俺がいっぱい甘やかしたいんや」
これ以上甘やかされたら幸せで溶けるな、なんて思いつつこくりと頷いた。
水族館を堪能して、そろそろお昼ご飯にしようと建物を後にした。
「何食べたい？」
「ううん…なんやろなぁ…」
少し黙って考えて、ふと思いついて声にする。
「お寿司食べたい」
「寿司食いたいなあ」
揃った声に顔を見合わせ、立ち止まる。
そして二人は同時に吹き出した。
「お前もか…！」
「いやあ、鮭見たらサーモン食べたくなった」
「俺も。マグロ見て旨そう思っててん」
ひとしきり笑った私たちは手を取って、ゆっくり歩き出した。
―――――――――
2話更新はキリが悪かったのと気分です。
ch4周年おめでとうございます！
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野々宮蓮花(プロフ) - 小林萩さん» わ！ありがとうございます！！神様だなんて恐縮です…；；tn推しの方に共感して頂けてなによりです〜!!!!読んでくださってありがとうございました！ (2020年10月27日 18時) (
レス) id: 720637d64b (このIDを非表示/違反報告)
小林萩(プロフ) - 初コメ失礼します！…これほんまに処女作です？え？完成度高すぎないです？神様ですね…！！(感動)tn氏で安眠ネタなんて…ツボのど真ん中を貫かれました…とっっっっても素敵な作品で、一気読みしてしまいました…書記長さん推しなので夢主ちゃんが羨ましかったり…() (2020年10月6日 23時) (レス) id: b63d7693a0 (このIDを非表示/違反報告)
野々宮蓮花(プロフ) - 鬼雷さん» 推しさんは勿論ですが、タイトルから来てくださって非常に嬉しいです…！やはりtnｻ.ｲﾄﾞはじめ彼の声は安眠に効きますよね…。そう言っていただけて良かったです！他の作品もどうぞよろしくお願い致します…！ (2020年7月5日 8時) (レス) id: 720637d64b (このIDを非表示/違反報告)
鬼雷 - 題名と推しに惹かれてきました!私自身も不眠気味なのですがtonサiドを聞きながら目を閉じてると寝てる時が多いです!個人的に少しふわっとした雰囲気の眠気をさそうような安心する声をしてる感じがします!本当に素敵な作品です!他の作品も拝見させて頂こうと思います! (2020年7月5日 3時) (レス) id: 15f01a3427 (このIDを非表示/違反報告)
野々宮蓮花(プロフ) - 愁華さん» 書記長推しさんに共感していただけたことが何よりの喜びです…！こちらこそ、読んでくださってありがとうございました！！ (2020年6月23日 2時) (レス) id: 720637d64b (このIDを非表示/違反報告)
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