婚姻届を書いてください!!【太宰治】

14話 ページ16

太宰side


「だから嫌だったんだよ」

出来る事なら一生会いたくなかったよ



……ヨコハマに居る以上無理だけど。


「ねぇ、
金髪ストレートの美人さん知らないかい？」


大嫌いな相手にでも良いから
聞いて居場所を探りたい。




台本通り、という事は私がこうなる事も
分かっていたのかな？


其れは其れで少しばかり恥ずかしい




「嗚呼、知っているぜ」

中也が声を出すその前に、
見るのを避けてきた台本の台詞が
目に入ってしまった。



「お前の事が大嫌いな奴だろ？」

別人じゃないかい？
なんて言いたかった。

でも何故か自信満々の中也の様子が
気になって仕方が無い。


「特務課の女性だよ」

嗚呼、こういう時彼女の情報が余りにも
少なすぎて説明が出来ない。

「嗚呼、そうだぜ。和風軍服の女性だろ？」

そこまで言われりゃ
該当するのはたった1人だけだ。


でも信じられない


彼女は毎日私の事を愛している、
と言っていたよね……？


あれは嘘かい？それとも……


「何故君は彼女の事をそんなに
知っているんだい？」


最近分かったんだ。

この台本は私が言うであろう
台詞が書かれている。

つまり、見なくても対応は出来る。



もし筋書き通りじゃなければ声が出なくなり
其の台詞が言えない。
ただそれだけだ。

だからギリギリまで台本を見たくなかった





「簡単に言うなら友人だ」




君と彼女が友人？

もしかして、

あの婚姻届も揶揄いの内かい？
あの時署名しとけば良かったかい？



もう訳が分からないや。

それでも、早く、彼女に会いたい。


色々な意味でね

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