Affect049 ページ5
Aside
私と出水が、本当の意味で一番仲が良かったのはやっぱり太刀川隊時代だと思う。
毎日のように基地で会って、個人戦をして、隊室で家みたいにくつろいで遊んで、ランク戦の作戦を練って、勝ち上がって。普通の中学生とは違う時間が、私と出水の時間だった。
「うま」
「お前ほんと甘いの好きな」
なのに私が太刀川隊をやめて、そしたら今度は学校が同じになって、私と出水にはなかった普通の学生の時間が、生まれた。
だから、どうしても違うなと思ってしまって。
単純に、太刀川隊を辞めた私とずっと友達でいてくれることには感謝してる。ボーダーを休んでた時期でも学校で普通に接してくれたことも、玉狛へ行っても離れなかったことも、全て。
けれど、胸の奥に何かがある。
だって出水は思ってるはずなんだ。またランク戦したいな、とか。一緒に見に行くだけじゃなくて、ボーダー隊員同士でしか楽しめないようなことをしたいはずなんだ。
罪悪感に似たものが、私の上にのしかかるのだ。
「出水はいいのフラペチーノじゃなくて」
「今は気分じゃねー」
放課後の寄り道といえばまあスタバだろう。私は新作のフラペチーノを当然のようにホイップ増量で頼むのだが、出水はコーヒーを1杯頼むだけだった。
正面に座ってそれを一口飲む出水がいた。
「今日非番なんだ？」
「遠征から帰ってきたばっかだからな。しばらく任務ねーだろ」
「そーゆーもんか」
普通にボーダーの話をしているように見えて、実は踏み込まないエリアがある。私と出水はその境界線を守り続けている。きっと米屋もそう。
「…お前さ」
でも、たまにあるんだ。この声が。
この声のときは、その境界線を踏み越えてくるとき。
「いいのかよ、斬れないままで」
こういうことを言うときは、出水はこんな声で話すのだ。空気が何となく変わったことを感じる。
「昨日どーせ太刀川さんに何か言われたろ」
「なんでわかんの」
「柚宇さんがそんな顔してた」
私達は、どうしてまだこうなのだろう。私はもう太刀川隊じゃないのに、未だにお互いのことをどこかで分かってしまう。だから今もこの言葉の意味がわかる。私と太刀川さんの会話を、一人隊室で見ていた柚宇さんの顔が。
柚宇さんは、優しいから。
「そーいえば唯我は？」
「なんで今アイツが出てくんだよ」
「昨日いなかったじゃん」
「…足手まといだから遠征も任務も留守番」
「あーね。うちの京介は大人しくバイト行ってたよ」
「何がうちのだよ」
私は話を逸らして逃げた。
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亜桜(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！過去編の方の親友と高校の親友は別人になります;;表記がややこしかったですよね！修正しておきますね〜！！ (2020年6月9日 12時) (
レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - とても面白いです！過去編の親友の名前は高校の親友と同じ名前でいいんでしょうか？ (2020年6月8日 23時) (レス) id: b6ab3f2fc3 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - そるとさん» コメントありがとうございます！マイペース更新で申し訳ないです;;がんばります！ (2020年5月21日 23時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - すごく面白かったです。更新されることがあったら楽しみに待ってます！ (2020年5月21日 19時) (レス) id: 6009fd27be (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - みっとんさん» ありがとうございます！がんばります〜！ (2020年2月8日 10時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2020年1月4日 1時
