Affect071 過去編�� ページ27
Aside
元気って何だろう。何を持って元気と判断するんだろう。
「まあそれなりに…高校生活もバイトも慣れてきました」
「そうか」
言うことが普通の高校生すぎる、そうだよな。ボーダーじゃなかったら、私達はこんな生活を送ってたんだよな。殺す殺されるの世界なんて知らない、武器なんて名前もわからない、そんな世界で生きていたはずなんだよな。
「…なあ」
太刀川さんは駆け引きとかができない人だ。いつも話題は単刀直入に言うし、思ったことは伝える。だから今回も本題に入るのが早かった。
「お前、ボーダーに戻ってこないのか？」
太刀川隊にはもう戻らないことをよほど確信しているのか、太刀川さんはボーダーという言葉を使った。私はずずっとラーメンをすする。
「…戻りますよ、そのために休んでるんだから」
「おれもそれは理解してるつもりだ」
遠征から帰って、何も斬れなくなった。このままボーダーにいても前に進めないと思ったから、一度離れることを選んだ。落ち着けば、また戦えるようになるんじゃないかって、中3の私が判断したからだ。
「前を向こうとするお前を邪魔したくなかったから、おれは何も言わなかった」
太刀川さんはそれをよく理解してくれている。
「けど、＿＿もう半年だ」
ぐ、と唇を噛んだ。分かってるよ、出水や米屋が何も言わないだけで、太刀川さんが今言おうとしてるのと同じことを考えてるってのも、わかってる。
「最近のお前を見てたら、ボーダーに戻ることがまだお前の視野にあるのか、疑うのも無理ないだろ」
「っ、太刀川さんが私の今を知ってるわけ？」
「あー見てるは違うか。出水から訊いてる限り、だな」
今、私は、このまま逃げてしまえるのなら…なんて、考えていないか？このままあの世界から離れて、逃げて、普通の高校生になれれば。もう"あんな思い"をしなくていい。
「お前の態度は、信じて待っててくれてる奴らを裏切ってるのと同じだぞ」
「…なんで私は、逃げちゃだめなのかな」
ワガママだ、分かってる。一度この世界に飛び込んだからには、逃げ出すことは許されないって。そういうものだ、現実は。けど私は弱いから、こんな情けないことを言ってしまう。
「自分で言ったからだ。まだボーダーとして死にたくない、これで終わりにしたくない、ってな」
「みんなそれを信じたからだ」
当たり前だ、わかってる。
「おれも、信じたからだ」
隣に並ぶ大きな体を見上げた。けど彼は私の目を見なかった。
「…………」
いつまでも、逃げちゃいられない。
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亜桜(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！過去編の方の親友と高校の親友は別人になります;;表記がややこしかったですよね！修正しておきますね〜！！ (2020年6月9日 12時) (
レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - とても面白いです！過去編の親友の名前は高校の親友と同じ名前でいいんでしょうか？ (2020年6月8日 23時) (レス) id: b6ab3f2fc3 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - そるとさん» コメントありがとうございます！マイペース更新で申し訳ないです;;がんばります！ (2020年5月21日 23時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - すごく面白かったです。更新されることがあったら楽しみに待ってます！ (2020年5月21日 19時) (レス) id: 6009fd27be (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - みっとんさん» ありがとうございます！がんばります〜！ (2020年2月8日 10時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2020年1月4日 1時
