Affect062 もう一度この場所から ページ18
Aside
12月20日。
久しぶりすぎる、この部屋。
そもそも本部に来るのも城戸さんに呼ばれた時かランク戦見に来たときくらいだったから、中を歩いたのも割と久しぶりだった。けどこの部屋は本当に立ち寄ってもなかった場所。最後に訪れたのは、太刀川隊を抜けた中学3年生の冬。もう実に2年の月日が経っていた。
ふう、と深呼吸した。
プシュ、とドアが開く音がする。
「えっ…と、玉狛の、亜桜です」
太刀川隊の隊室。ボーダーとして過ごした半分以上の月日を、私はここで過ごした。見てみるとあの頃置いていた私の私物は何一つなくて、変わらず置いていたのはみんなの私物と、壁にかかったA級のエンブレムがついたパーカー。
「おう、早いな」
「亜桜ちゃん〜ゲームしよ〜！」
「あれ外雨？傘そのへん置いとけよ」
普通、だった。
チームメイトだった頃のような、日常がそこにあった。太刀川さんも柚宇さんも出水も、何も特別なことはなく私を迎えてくれた。それが、どれだけ私の心を救ったか。変に気を遣われて優しくされても、明らかなあの頃との"違い"を提示されても、辛かっただろうから。
ああ、一番初期の、太刀川隊ができた頃を思い出す。
「この人が亜桜さんですね！」
「お、唯我」
私がこの場所を懐かしむ暇もなく、奥から唯我が現れて私を指差した。唯我は私が抜けてから太刀川隊に入ったので、チームメイトだった期間はない。し、面識も玉狛に転属することを太刀川隊に伝えに来た時に、一度会っただけだ。
「久しぶり、どう調子は？」
「それはもう順調です！個人ランクを駆け上がる日も目前ですよ！」
「なわけねーだろお荷物が」
「出水先輩ヒドイ！」
唯我は、私に会う前から私の話は訊いてたらしくて、初めて会った時に猫を被ることもできなかった。本性がバレてたから。かつての実力も、斬れなくなったことも知られてたけど、でもその理由や抜けた経緯などは知らないらしかった。誰も話さなかったのだ。
「とにかく！あの烏丸と抜けた貴女の分は近いうちにボクが取り戻しますので！期待しててください！」
唯我が胸に拳を当てて自慢気にそう言った。"抜けた貴女"というワードがなんとなく耳に残って、私はうまく言い返すことができない。
やば、なんか言わなきゃ…
「まあ100年かかっても無理だろうがな。じゃあ亜桜、訓練室入るぞ」
「っ、はい」
また、私を救ったのは太刀川さんだった。
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亜桜(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！過去編の方の親友と高校の親友は別人になります;;表記がややこしかったですよね！修正しておきますね〜！！ (2020年6月9日 12時) (
レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - とても面白いです！過去編の親友の名前は高校の親友と同じ名前でいいんでしょうか？ (2020年6月8日 23時) (レス) id: b6ab3f2fc3 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - そるとさん» コメントありがとうございます！マイペース更新で申し訳ないです;;がんばります！ (2020年5月21日 23時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - すごく面白かったです。更新されることがあったら楽しみに待ってます！ (2020年5月21日 19時) (レス) id: 6009fd27be (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - みっとんさん» ありがとうございます！がんばります〜！ (2020年2月8日 10時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2020年1月4日 1時
