Affect060 ページ16
迅side
未来視があっても、たくさん間違える。
「じゃあ太刀川隊に伝えてくれたんだ」
「ああ、驚いてたぞ」
「そりゃ驚くでしょ」
太刀川さんと、本部のラウンジで話していた。Aのことを隊員に話してくれたらしく、これでいつでもAを太刀川隊のもとにやることができるというものだ。
「まあおれたちは驚くだけで済んだが、お前らはそうはいかなかっただろ」
太刀川さんは、Aのことをよく理解していると思う。だってAをボーダーに誘ったのは太刀川さんで、そこから2年以上、彼はAの隊長だったのだから。
「亜桜がよく受け入れたな」
太刀川さんは、Aが太刀川隊を抜けてから彼女のことを亜桜と呼ぶようになった。分かりやすい人だから、彼なりに明確な形にしたかったんだろう。
「まあね。…けど、やり方は間違ったよ」
おれには、
あの訓練室でAがおれのことを斬ってくれる未来と、斬れずに飛び出す未来が視えてた。けど、わけを話せば斬るようにするための訓練を受け入れてくれる未来は、あの雨の中で視えた。
最初から、話せばよかったんだ。
急に訓練室に呼び出して斬らせようとなんかしないで、師匠をやめるなんて追い詰めるようなことを言わないで、ちゃんと『詳しくは話せないけど、将来的に斬れないとまずい状況になる』ってことを、言葉で伝えればよかったんだ。
だけどおれは選択肢を間違って、Aを傷つけた。
「そんなの普通だろ」
「え？」
「おれだってミスったぞ、亜桜と話すときは何回も」
太刀川さんは、頭がいい人ではない。なのにたまにこういうことを言われるから、学ばされることは割と多い人だ。おれにはないものを持ってるから。
「未来視があってもなくても、アイツにそういう話をする限りはミスって当然だ」
難しいことだと理解しているんだ、太刀川さんは。それぐらいAの心に深い傷があることも理解していて、だからこそ説得して前を向かせる難しさを、太刀川さんは知ってる。
彼も、太刀川隊を抜けるAを止められなかったから。
「おれはお前と違って優しい言葉は言えないしな、おれよりマシだろ」
「おれって優しい言葉を言えるタイプなの？」
「そうだろ」
おれの中のおれは、冷たい人間だ。
誰かのため、じゃなくて、より良い未来のために動くから。誰かを傷つけてもボーダーがより良い方向へ動くなら、平気でその人を傷つけるから。だから、おれは冷たい。
『お前はおれの弟子だ。それ以上でも、以下でもないよ』
優しいなら、あの時あんなことは言わなかっただろうしね。
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亜桜(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！過去編の方の親友と高校の親友は別人になります;;表記がややこしかったですよね！修正しておきますね〜！！ (2020年6月9日 12時) (
レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - とても面白いです！過去編の親友の名前は高校の親友と同じ名前でいいんでしょうか？ (2020年6月8日 23時) (レス) id: b6ab3f2fc3 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - そるとさん» コメントありがとうございます！マイペース更新で申し訳ないです;;がんばります！ (2020年5月21日 23時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - すごく面白かったです。更新されることがあったら楽しみに待ってます！ (2020年5月21日 19時) (レス) id: 6009fd27be (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - みっとんさん» ありがとうございます！がんばります〜！ (2020年2月8日 10時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2020年1月4日 1時
