神様の云う通り ページ24
「神様って、本当にいるんだねぇ。」
ソファーに身体を埋めてしみじみと口にすると、隣の南雲君が慰めるように目を細めた。
「それ、多分良いことがあったときに言う方の台詞。」
先方の事務長からほぼ確定とお約束を頂いていた受注案件に知らない間に相見積もりを取られていて、競合他社に全て持って行かれてしまった。
長期間に渡った信頼関係の構築と、調整と、ご要望のお伺いは一体何だったのか。
これが神様の気まぐれでなくて何なのだろう。
契約書の捺印までは何も信用出来ない。尽力など何の実績にもならない。
こうなってしまって知ったことだがあちらは理事長の身内の方が勤務されているらしく、事務長へも直前に仕入れ先変更の指示があったという。
誰を責めるようなことではない、こんなことはままある、理不尽の内にも入らない。
この業界に限らず、そういった繋がりも実績の糧になり得るのを否定するつもりはない。
分かってはいるのだけれど。
「努力は時に、平気で人を裏切るよね。」
「確かに。いつも報われるとは限らない。」
「分かった、神様の正体はステークホルダーなのだな。」
「名言っぽいのきた。」
くくっと笑いながらも労わる様に私の肩を抱き寄せて、危険な耳打ちをする。
「何処の病院か教えてくれたら、あらゆる方法でふんだくってあげるのに。」
「そもそも社外の人にこんな愚痴を言っているだけでも問題なのに、言えない。」
あらゆる方法って何それ怖い。という言葉はしまっておこう。
「会社の人には愚痴の一つも言ってないんだよね。」
時間を掛けた商談が上手くいかないことなんて、皆にとってありふれたことで。
「ごめんね。せっかく南雲君と一緒に居るのに愚痴なんて。時間が勿体ない。」
「何言ってるの。Aを甘やかすのは俺の役目だよ。」
それに、特権でもある。と南雲君は甘ったるい呪文を唱える。
「南雲君、優しいね。神様みたい。」
「まさか。神様だったらAだけを依怙贔屓出来ない。」
ああ、やっぱり。
私には本当に神様がいたのだ。
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沢崎(プロフ) - KANONさん» はじめまして。読んで頂いてありがとうございます。書きたい場面は色々ありますが、文字に起こすのが難しくて。お言葉が励みになりました！木林さんの素敵さを少しでも表現したいです^^ (2018年4月27日 3時) (
レス) id: a5bf5d2b75 (このIDを非表示/違反報告)
KANON - はじめまして。木林さんのお話が読めて嬉しいです。不思議な怪しい魅力を持つ木林さん。何度も読み返してしまいます。これからも素敵なお話が続きますように‥ (2018年4月25日 0時) (レス) id: 1ebeb777d3 (このIDを非表示/違反報告)
沢崎(プロフ) - りこさん» はじめまして、コメント有難うございます！私も放送が終わっても木林さんのことを考えたくて書いています。イメージとかけ離れてしまわないか表現を迷っているので木林さんファンの方からそのようなお言葉を頂けて本当に嬉しいです。ぜひまたいらして下さいね^^ (2018年4月7日 2時) (レス) id: a5bf5d2b75 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - はじめまして。ドラマ終了後も木林さんが頭から離れず、沢崎さんのお話に出会えた時は本当に震えました。毎作品、読み終えるのが勿体なくて、ゆっくりゆっくり読ませて頂いています。言葉選びがとても綺麗でこの喜びを250字では語り切れません。有り難うこざいます。 (2018年4月4日 23時) (レス) id: 27c3e3ee96 (このIDを非表示/違反報告)
沢崎(プロフ) - さくらさん» 訪問及びコメント、ありがとうございます！言葉の表現や情景は練っているつもりなので、とても嬉しいお言葉です^^また遊びに来て頂けると嬉しいです(´―｀* (2018年4月2日 23時) (レス) id: a5bf5d2b75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沢崎 | 作成日時：2018年3月22日 22時
