2-2 30代女性 ページ16
しばらく歩いてみるが、私のような服装をしている人は少ない。和服が断然多いし……と思っていた時だった。
「ヒィッ……」
私の視線の先に、犬の顔をしている人間サイズの二足歩行の化け物が横切った。
思わず、鞄を落としそうになった。
しかもその化け物、洋服を来ている。空想上の生き物としか思えない、何故こんな化け物がいるのか、しかもそれに対して人間は何も言っていない。
怖い、恐ろしい、何も分からないからこそ生まれてくる恐怖。
とぼとぼと歩いていると、ある看板を見つけた。そこには「3F昭和平成」と書かれてあり、私は目を見開いた。
勿論、その単語には見覚えがありまくりだった。私が先程までいた所での元号だ。
私はすぐさま、そのビルの3階へと足を運ぶ。ノックをして、相手の返事を聞く前に中に入ってしまった。
「あの、すみません!」
「……」
中はとても散乱していた、沢山の本で埋もれていたのだ。
その大量の本の中から、手と足が見えた。私はそれを引っ張り出し、少し気が引けるがその人を起こした。
「……ん、あ!ようこそ昭和平成へ!」
「あ、どうも……じゃなくて。私、看板を見て……」
「君、あっちから来た人だね、そのテンパり具合は……。まあ座ってよ、その本は床に置いといて」
「わ、分かりました……」
私はソファの上に置かれていた本を避けて、ソファに座る。
彼女は、キッチンの方へと行き、しばらくすると麦茶を出してくれた。夜なのでカフェインを摂取させないようにと小さな気遣いが見られる。
「えっと……それで、何年から来たかな?元号で答えてほしい」
「あ……平成31年です」
「平成の31か……私は30年だよ、結構近いね」
「え、あ、あの……ここって一体……」
「ここはお江戸の世界、と言っても和と洋、それと変に現代のような物が混ざっている変なお江戸。ここを私はなんちゃってお江戸と呼ぶ」
茶髪に深緑色の目をした不思議な女性は訳の分からない事を言っていく。
和洋折衷、といってもまた少し違うようだ、ここ数十年で開発された物も沢山あるようで、ここは明治時代というわけでもないらしい。……いや、それはあの化け物を見たらなんとなく分かるが。
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御子柴(プロフ) - 菜々美さん» 確かに、トリップ物で沢山の人が出てくる小説は少ないですかね……?読んでくださりありがとうございます、これからもよろしくお願い致します(´∇`) (2019年10月23日 10時) (レス) id: 4466855303 (このIDを非表示/違反報告)
菜々美 - こんな感じの小説は、読んだのが初めてだけど、とても面白く見させてもらってます! (2019年10月23日 2時) (レス) id: 179628e6fd (このIDを非表示/違反報告)
御子柴(プロフ) - グミさん» そう言ってくださるとモチベーション上がります……ありがとうございます!あーさんは憧れの存在です、更新は時折疎かになる事もあるとは思いますが、今後ともよろしくお願いします!! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 4466855303 (このIDを非表示/違反報告)
グミ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます。思わず引き込まれるような筆調と面白い内容で、私も1人の作者として尊敬しています。私あーさんのキャラや性格好きなので、これからも頑張ってください! (2019年6月25日 19時) (レス) id: 01f2b963c9 (このIDを非表示/違反報告)
御子柴(プロフ) - (名前)さん» いえいえ(´∇`)ミツバさんお元気だと誰もが気になりますよね笑 この作品には第三者目線がありません、それを踏まえて今後読んでくださると嬉しいです!これからもよろしくお願い致します!! (2019年5月16日 10時) (レス) id: 4466855303 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御子柴 | 作成日時:2019年5月1日 0時