1-1 20代男性 ページ1
その日は暑かった。着ぐるみに入るバイトをしているのだが、とても蒸し暑く何度も意識が遠のきそうになった。
そんな最悪なバイトを終えて、夕方に汗だくで帰っていた。
さすがに身体中が気持ち悪くなってきたので、せめて顔だけでも拭こうと思いビルの間の日陰に行き、鞄をいじる。
あぁ、これで少しはスッキリ出来る、そう思った時。タオルを持った俺の視線は不意に出てきた黒猫に奪われる。
黒猫はこちらをジーッと見つめており、急に歪んだように笑った。その瞬間、目の前が真っ白になって、俺の意識は遠のいていった。
「……った……、あれ」
目が覚めたら、そこはビルの間ではなく、土手の道。しかも街明かりひとつ無く、ここがどこなのかも分からない。
もしかして、俺誘拐された?いや、それなら何故ここにいるのだろう……捨てられた?
様々な憶測が飛び交う中、俺は川の方へと歩いていった。
「綺麗な川だな……」
もうすぐ日が暮れるから、ハッキリとは見えないのだが、少しの日が反射されてるのを見て、勝手にそう思う事にした。
そういえば、俺は鞄を持っていない。あの中に全てがあったというのに、お金も携帯も何もかも無い。
……まず原点に戻ろう、俺はある街にいたのだが、ここはどこなのか全く分からない。そもそもここは街では無い、田舎だろう。……しかも、街灯も無いだなんて、今じゃ珍しい。余程の田舎なのだろうか。
だが、川があるってのは大きい。それにここは土手、つまりどちらかに歩いていけば、街はあるはず。そう思い、俺は歩き始めた。
「なんだ……ここ……」
暫く歩くと、江戸時代と現代が混ざったような街に着いた。なんだか人間じゃない生き物もいるし、だけど道行く人々は大体が和服。それに建物も和風もあれば洋風もあり、よく分からない。
最初は明治時代だと思ったが、あの生き物を見る限り、明治時代でもなんでもない。今まで習ってきた日本史には、そんな史実はなかった。
それに、明治や江戸……だと、もっと身長が低いはず。
Tシャツに短パンの俺は少し目立っていて、僅かに視線も感じる。もう夜だが、ここはとても明るい。確か「かぶき町」と書かれていたな、歌舞伎町はあるが、平仮名だった覚えはない。
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御子柴(プロフ) - 菜々美さん» 確かに、トリップ物で沢山の人が出てくる小説は少ないですかね……?読んでくださりありがとうございます、これからもよろしくお願い致します(´∇`) (2019年10月23日 10時) (レス) id: 4466855303 (このIDを非表示/違反報告)
菜々美 - こんな感じの小説は、読んだのが初めてだけど、とても面白く見させてもらってます! (2019年10月23日 2時) (レス) id: 179628e6fd (このIDを非表示/違反報告)
御子柴(プロフ) - グミさん» そう言ってくださるとモチベーション上がります……ありがとうございます!あーさんは憧れの存在です、更新は時折疎かになる事もあるとは思いますが、今後ともよろしくお願いします!! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 4466855303 (このIDを非表示/違反報告)
グミ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます。思わず引き込まれるような筆調と面白い内容で、私も1人の作者として尊敬しています。私あーさんのキャラや性格好きなので、これからも頑張ってください! (2019年6月25日 19時) (レス) id: 01f2b963c9 (このIDを非表示/違反報告)
御子柴(プロフ) - (名前)さん» いえいえ(´∇`)ミツバさんお元気だと誰もが気になりますよね笑 この作品には第三者目線がありません、それを踏まえて今後読んでくださると嬉しいです!これからもよろしくお願い致します!! (2019年5月16日 10時) (レス) id: 4466855303 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御子柴 | 作成日時:2019年5月1日 0時