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『ッあ、りがとうございます。助かりました。
…助かりましたからもう離してもらってもいいですか。』
お礼を言いつつ、痛いので話して欲しいという気持ちは隠さず声をかける。
にしてもこの人本当に器用だし、瞬時の判断には長けてる…
後頭部を大きな掌で前に押し出しつつ、腕先から肘にかけてで背中を支えてくれた。
まぁその分距離感も近いし、力も増したから痛かったんですけど。
『…あの、爆豪さん？』
声をかけてもなお、グッと抑え込んでくる爆豪さんに視線を送る。
彼の顔を伺えば、なぜかこちらを見たまま少し間抜けな顔をしている。
私の視線に気付いたのか、ハッとしたようにすごい勢いで手を放してくる。
その様は少し汚いものを触ってしまったときのようで失礼極まりないなと思いつつ
再度、ちょっと渋々といった具合にだが「…ありがとうございました」と告げた。
すると何故か顔をしかめた爆豪さん。
もう意味が分からないんですけど、この人…どうすればいいんですか
正直に言えば少しうんざりしていたら彼は何かを呟いた。
しかし、あいにく口元が動いたこと以外分からない。
『あの…今音がうまく聞けなくて』
事実を告げれば面倒くさそうな表情を徐に晒し、自身の親指を首筋に突き付けた。
最初何を指していたのか分からなかったが
私自身「首筋」には直接的でなかったとしても指摘されれば気にするものがあった。
思わず「それ」を隠しながら一歩後退してしまう。
そこには皮膚を覆い、隠してくれていたはずの包帯の、布の感触がなかった。
オールマイトと敵の攻防が続いているのに、我ながら自分本位で嫌になる。
それでも、「これ」こそが私の今の生き方の原点であり
私の一生の、永遠に忘れられない後悔の証明であり正しく「傷跡」だった。
フイッと彼は顔を背け、オールマイトの方へ視線を向けた。
対して私は浅くなった呼吸で必死に深呼吸をした。
ただこれを見られただけならばここまで焦燥感を煽られる事はなかったはず
でも、こんなに背筋が寒くなるのは、先程の爆風も原因の一つとしてあるのだろう。
あの時も、倒壊したものが地に落ち強い風に煽られた。
強い風に押し飛ばされて、髪が靡いて、今より軽い体は簡単に浮き上がる。
ＰＴＳＤ…なんとも厄介なものだ
これのせいで気持ちが切り換えきれないのもあるだろう。
…言い訳に過ぎないけれど。
あぁ、もう。
じわじわと視界が、気持ちが暗い翳りに覆われそうになっていく。
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睡-ｽｲ-(プロフ) - カナデさん» ありがとうございます。夢主の性格に合わせてなるべく繊細に、熟考した様子を描ける様に心がけているので感想とても嬉しいです。明日(本日)2話あげる予定なので楽しんで頂けたら幸いです。 (2022年11月10日 1時) (
レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - やった！！更新だ！！！ありがとうございます！！五臓六腑に染み渡る…睡さんの書く話は心理描写が細かくて…あと日本語が綺麗（？）です。これからも応援してます！ (2022年11月8日 14時) (レス) @page43 id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - はじめまして。最初から読ませてもらいました！とても楽しくて面白かったと思いました。特に夢主のおっしゃる事や性格、個性、シリアス感がと出ていて読むのが楽しかったです。更新頑張ってください！！応援しています。 (2020年9月14日 1時) (レス) id: b338802f9d (このIDを非表示/違反報告)
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