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背後から突風と轟音が広がった。
髪は風に攫われて私の頬を掠めていく。
音につられて４人全員の視線が後方…つい先程まで居た場所に向く。
そこではオールマイトが「のうむ」という敵に
バックドロップを決めた様子が伺えて、生徒の顔に安堵が見え始めていた。
それで事が終われがどれだけよかったか。
先程まで居なかった存在がチラチラとその姿を覗かせている。
空気を漂うように、端は解けていくように靡く黒い靄。
…爆豪さん、ここに標的が来てるのに気付いているだろうか
あの人は捕縛対象をあの靄の敵に絞っていたはず。
オールマイトの攻撃によって砂塵が舞い、地上１．５ｍくらいは視界が悪い。
立っていた黒い靄の敵の存在は認識できていたが…
まさか、砂埃の中で、姿勢を低くしていたオールマイトが……。
「ぐっ…ッ」
痛みに耐える小さな呻き声。
砂塵が晴れていく。段々と明瞭になっていく視界。
そこには口元に血を滲ませる平和の象徴の姿があった。
小さく聞こえたのはヒュッと風を切る音。
それは自然の風なんかではなく、同級生が息を飲む音だった。
彼のその様子を見て確信してしまう。
彼が、数秒とせず駆け出して行ってしまうことを。
彼を止めなくちゃ、そう思ったときには
既に緑谷くんは峰田さんに声をかけて消太さんの足を持つのを代わって貰って
踵を返し、私たちに背を向けていた。
その腕を掴み、引き留めようとしたが
消太さんを背に担ぎ、何とか空けられた利き手は
彼の手を掴むことは叶わず、その皮膚を撫でるように滑り落ち、空を切る。
「っあぁ！もう！！」
走り出した彼の背に、思わず
そして自分にしては珍しく、不満が伺える言葉が口に出た。
私もバッと勢いよく蛙水さんに向き直り、担ぐのを代わって貰う。
駆けだしたタイミングからしてもすぐに緑谷くんに追いつくのは不可能だ。
消太さんの状態を気にしながら代わって貰い
緑谷くんの駆けだした方向、オールマイトがいる方向を向けば
彼が伸ばした手の先には確かにオールマイトがいた、が
その間、目の前に控えていたのは敵の個性のワープゲートだった。
分かってはいたけど、やっぱり個性を使う羽目に。
脳裏では悪態をつくが、緊急事態だと思考は柔軟に回ってるようで
ほぼ無意識下で私は緑谷くんの時を示す砂時計を出していた。
それとほぼ同時に血の匂いがふ、と消え失せる。
…嗅覚が完全に機能停止した。
もし次が視覚か聴覚だったら状況によっては、アウトだ。
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睡-ｽｲ-(プロフ) - カナデさん» ありがとうございます。夢主の性格に合わせてなるべく繊細に、熟考した様子を描ける様に心がけているので感想とても嬉しいです。明日(本日)2話あげる予定なので楽しんで頂けたら幸いです。 (2022年11月10日 1時) (
レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - やった！！更新だ！！！ありがとうございます！！五臓六腑に染み渡る…睡さんの書く話は心理描写が細かくて…あと日本語が綺麗（？）です。これからも応援してます！ (2022年11月8日 14時) (レス) @page43 id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - はじめまして。最初から読ませてもらいました！とても楽しくて面白かったと思いました。特に夢主のおっしゃる事や性格、個性、シリアス感がと出ていて読むのが楽しかったです。更新頑張ってください！！応援しています。 (2020年9月14日 1時) (レス) id: b338802f9d (このIDを非表示/違反報告)
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