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あと少しで、
心の一番奥にあるものに触れられそう。
神山くんの痛みに手が届く。
確かにそう感じたのに・・・
「神ちゃん、やっぱり来てくれたんや！」
葬儀場の中から出て来た大毅の声に、
その予感は呆気なく消えてしまった。
神山くんが真っ直ぐに、
大毅を見つめてる。
「シゲ・・・
Aのこと頼むわ」
前とは違う、
皮肉なんかじゃない、
優しい落ち着いた話し方だった。
「神ちゃん・・・？」
「シゲにしか預けられへん。
Aのこと、
絶対に幸せにしてやってや。
俺の代わりに」
「神ちゃん、それ本気で言うてんの？」
「おお。
本気やで。
けどシゲしか嫌や。
他のやつじゃ無理やねん」
「分かった。
絶対に誰より幸せにする」
大毅がうなづく。
「勝手に決めないで。
私は・・・」
神山くんが、今でも好き。
他の誰も代わりになんかならない。
きっとこの気持ちは、生涯、変わらない。
喉の奥が凍りついて、
声にならない・・・
「A、絶対に幸せになれよ。
俺が一番、・・・一人だけ、
惚れた女の子やねんから。
幸せになってくれな、
許せへんからな？」
あの頃と同じように、
私の髪を撫でて、
優しく目を細めて微笑む。
「じゃあ行くな」
縋り付く私の腕をそっと解いて、
神山くんが背を向けた。
そのまま、駆け出して行ってしまう。
「待って。
行かないで。
まだ話終わってないよ。
私の気持ち、なんで無視するの？
神山くんっ・・・」
走ったけど、間に合わない。
舞い落ちる雪に紛れて、
神山くんの姿は見えなくなる。
やって来たタクシーに乗り込む彼を追いかけて。
車道に飛び出そうとした私を、
大毅が力づくで抱きとめた。
「俺がおるから。
絶対に寂しい思いなんかさせへん。
裏切って消えたりもしいひん。
何があってもAのそばにおるから」
涙がはらはら流れて、
頬に落ちる雪を溶かしてく。
泣きたいのはきっと、神山くんの方。
私はいつも受け身で、
自分を守ることに精一杯だった。
だけど、このままじゃ駄目なんだ。
変わらなきゃ・・・
私が、傷付いた神山くんを守りたい。
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お風呂場の狸(プロフ) - はじめまして！foolさんの作品全部読んでます。深夜に大号泣しちゃいました……続き楽しみにしてます！ (2021年1月19日 5時) (
レス) id: 2489012008 (このIDを非表示/違反報告)
緑推し！(プロフ) - 神山くん、まさかの展開だったのでびっくりしましたが社長がいい人でよかったです…！主人公に冷たくしながらも愛情が溢れかけそうなところ、神山くんサイドだったのでちょっと安心して読めました！いつか堂々と守ってほしいなぁ…続きを楽しみにしてます！ (2021年1月12日 8時) (レス) id: 1532c3336c (このIDを非表示/違反報告)
愛香(プロフ) - いつも楽しく拝見しております！明日の君に会いたくて、にパスワードが記載されていますが此方はどの作品に使用するものでしょうか？ (2020年12月15日 3時) (レス) id: b2ae6bb44c (このIDを非表示/違反報告)
きい(プロフ) - 読む専用のアカウントで投稿してしまったので投稿し直します。私の作品も読んでくださっているみたいで本当にありがとうございます！神山くんがどう思っているのかすごく気になる展開に目が離せません…！お互い自分のペースで更新頑張りましょう！今日はお疲れ様です！ (2020年12月13日 23時) (レス) id: a3d14ce5ae (このIDを非表示/違反報告)
緑推し！(プロフ) - 追加箇所教えてくださりありがとうございます！確かに読み直した時、こんなに強引だったっけ？と思ったとこでした！ああでもかっこいい…！お見舞いのシーンで出てきた大倉くんにとっても試練の時期でしたね…！シゲも優しくてとても素敵ですが神ちゃん早く迎えにきて！ (2020年12月9日 7時) (レス) id: 1532c3336c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fool
| 作成日時：2020年12月2日 14時
