人には愛されたいけど鬼には愛されたくなかった。/肆【鬼滅の刃】

１３９話＊もはや足枷だろこれ ページ9

数年ぶりの温泉は予想以上に気持ち良かった。
もう来る機会はないだろうから、思いっきり堪能しまくったよ！



「あ、私、刀の事で行かなきゃだから……お夕飯までには帰ってくるから！」
『りょーかーい』




おっと、堪能しすぎてここがどこか忘れていた。
せっかくの刀鍛冶の里なので、見学の許可を取って刀鍛冶の様子を見に散歩することになった。


……もちろん足には重りつきだけどな！




さっき蜜璃ちゃんに鍛錬の事を話したんだけど、


「鍛錬？強くなりたい？そういうことなら任せて。全力でサポートするわ！向上心が強い子ってキュンキュンしちゃうわね！」


……だそうだ。
今日生まれて初めて蜜璃ちゃんがサタンに見えたよ。

でも蜜璃ちゃんめちゃくちゃやる気だし、さっき不穏な雰囲気になった事もあり、断るに断れなかった。





『それにしても、刀鍛冶ってこんな感じなんだね』


開け放たれた小屋の扉から中を覗き、誰かに言うわけでもなく呟いた。

もっと近くで見たいけど、刀鍛冶の見学の許可を取りに行った時、危ないから見る時は小屋の外から見るように言われているからなぁ。


なんか火花飛んでるし、やっぱり素人が近づいたら危険なんだろう。





「あのー……」
『ッ……⁉』


うわッ⁉ 隣に突然ひょっとこが現れた！
大声を上げそうになって、慌てて口を押さえる。

俺とした事が刀鍛冶見学に集中して、背後から近付くひょっとこ仮面二号(失礼)に気がつかなかっただと……⁉



『なんだ、刀鍛冶の人か……』
「すみません、驚かせるつもりは無かったのですが……」



でも、想像してみてほしい。
ボーッと武器作るところ見学してたら、背後からひょっとこの顔がいきなり現れたらビビらないやついないでしょ普通‼

下手したら某風船くれるピエロより怖いわ‼



「いやぁ、本当にすみません……。それとお嬢さん、私のことを覚えていますか？」
『ええ？』


その口ぶりからしてどこかで会った事がある人なんだろう。こんなひょっとこの仮面つけた人、知り合いにいたっけな。
これぐらいの歳で、どこかで会った事がある人というと……







『あッわかった！あの時のホームレスのおっちゃんでしょ！やっと就職先見つけたの？よかったねぇ』

「断じて違います。え、貴女ホームレスの知り合いまでいるんですか⁉」

『あ、ホームレスのおっちゃんではないのね』

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