人には愛されたいけど鬼には愛されたくなかった。/肆【鬼滅の刃】

１３８話＊温泉がチートな件について ページ8

蜜璃ちゃんが指さしたのは“温泉効能”と赤くでかでかと書かれた看板だ。


『え〜っと、何々？“切り傷・やけど・いぼ痔・切れ痔・便秘・痛風・糖尿病・高血圧・貧血・慢性胆嚢炎・筋肉痛・関節痛・性格の歪み・思いやりの欠如・鼻炎・へその痒み・失恋の痛み”……何これ、ここに書いてあるやつ全部治るの？』
「ええ！凄いでしょ」


いや、凄いとかいう次元じゃないよね、コレ。

どこのRPGの回復の泉だよ。もしここに鬼が来たらこの温泉に突き落とせば勝てるんじゃない？






辺りから漂う温泉の煙を見るに、どうやらここは露天風呂らしい。
露天風呂なんて四年ぐらい前、家族で温泉旅行に行った時以来だ。


そしてそして、蜜璃ちゃんのスタイルの良いことよ……


いや、キモいとか言わないでね。言ったら泣くから。
でも本当に同じ女子だっけ？って、思わず天を仰ぐレベルで痩せてるんだよ。


てか蜜璃ちゃんと一緒に温泉入るとか、これ伊黒さんに火炙り石抱きの刑にされたりしない？



「？どうしたの、Aちゃん」
『い、いや！なんでもないよ、うん。蜜璃ちゃん痩せてるなあって思って』



話を聞いてる限りでは蜜璃ちゃんと伊黒さんって結構仲良いみたいだし、悪印象を与えるような発言は控えた方が良いだろう。

それに、蜜璃ちゃんが痩せてると感じたのは紛れもなく事実だし。





『私、最近体重増えてきたみたいでさー……修行始めた頃は減る一方だったんだけど、修行不足かなぁ』


悲しいことに、これも事実である。
いつも通りちゃんと鍛錬してるつもりなんだけど……心がたるんでいるのだろうか。



「あ、それは気にすることないわ。いつも通り鍛錬していて体重が増え始めるのは筋肉がついてきた証拠よ」
『えぇッ本当にー？』



なら安心したわ……
でも、蜜璃ちゃんは力がある割にはムキムキというわけじゃないよね。腕も細いしさ。

その視線に気づいたらしく、彼女は少し悲しそうに微笑んだ。



「私は特異体質なの。筋肉の密度が普通の八倍なんですって」


え、何それ羨ましい。


『じゃあどれだけ鍛えても見た目細いまんまって事？世界中の女子が欲しがりそうな能力じゃん……』


蜜璃ちゃんは驚いたようにこちらを見た。
え？え？私また何か地雷踏んじゃった⁈ 私地雷踏み抜きすぎでしょ！





『えっと、あの……蜜璃ちゃん？』
「ッ……ううん、何でもないわ！行きましょう」



ほ、本当に？その言葉信じるからね⁇

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