175話*十字架=白鳥 ページ46
その夜、事件は起きた。
私は星でも見ようかと山に足を向けた。
こんな山の中を夜に歩くなんて、鬼が出ないこの里でしか出来ないことだからね。
今日は月の明かりも強いのに星明かりも強くって、夜なのにあまり暗く感じない。
しばらくのんびり歩いていると、鋼鐡塚さんの所へお使いに行ってきた帰りの小鉄君とエンカウントしたので、一緒に話しがてら帰ることにした。
『小鉄君小鉄君、これ、何のマークかわかる?』
ふと、ある事を思いついて、地面にあるマークを描く。
「十字架ですか?」
『正解。昔の人はさ、これを見て白鳥だと思ったらしいよ。ホラ、ここが頭でここが翼。やばくない?白鳥に見えなくない?』
「想像力とかそういう次元超えてますね……」
昔の人って時々突拍子もないこと思いつくよね。
星見て「あッ!あれ人の形に見える!」とか普通あるか?
「Aさんってよく捻くれてるって言われません?」
『小鉄君には言われたくなかったなぁ〜!……ん?』
何か音が聞こえた気がして、あたりを見回す。
『ねえ、何か聞こえない?』
「何も聞こえませんけど……どういう音ですか?」
え、マジで?葉と葉が触れる音がする。それもどんどん近づいてきてない?
「ちょっと、無言やめてくださいよ!そうやって想像の翼広げさせるのよくないと思いま……す……」
小鉄君の顔からどんどん血の気が引いていく。
小鉄君にもこの音が聞こえたんだ。
少なくとも風ではない、意思を持った何かが近づいてくるのがわかる。
「ど、動物ですよ!この場所は鬼にはわからないんですから!」
そのはずだけど、もの凄く嫌な予感がする。
この世界にトリップしてすぐの感覚に似ている、何かあり得ないことが起きている。そんな感覚。
気づけば私は小鉄君の手を引っ張って走っていた。
「ちょっ、Aさん⁉ 速い、速いです‼」
『ごめん』
小鉄君を転ばせて怪我させるわけにはいかないので、スピードを緩める。
それでも足を止めるわけにはいかなかった。
背後から迫る何かがよくないものだということだけはわかったから。
ここに鬼殺隊士はいない。いるのは十歳の男の子だけ。
私はもう“守るべき対象”ではいられない。
守られっぱなしの私としては、誰かの命を守るなんて始めてだ。
───そう、始めてのはずなのに
それは酷く懐かしく感じた。
176話*Q.魚+壺=鬼?→←174話*僕っ娘って可愛いよね
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紅乱 - セブンス・エイカンさん» 小さい頃あの絵描き歌意味わかんなくてギャン泣きした記憶あります。(白目) 応援ありがとうございます! (2020年4月2日 18時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
セブンス・エイカン(プロフ) - 関係ないけどハクション大魔王の絵描き歌って意味不明ですよね。ワオワオワオワオ!!とか言い出しますもん。続編に行っても頑張ってください! (2020年4月2日 18時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - 匿名さん» 麦茶吹いたんですか!?ハンカチどうぞ・ω・)っ◇ シャーロット家次男は皆さんご存知のカタ○リさんです。笑ってもらえたなら嬉しいです! (2020年3月31日 13時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - カバは可愛いから〜のくだりで飲んでた麦茶吹きました。そしてシャーロット家次男ww (2020年3月31日 12時) (レス) id: eb8e936342 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - セブンス・エイカンさん» 小鉄君は真顔でエグいことする子だと信じて疑ってません。(失礼) 嬉しいコメント本っっ当にありがとうございます!頑張ります!! (2020年3月29日 17時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
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