人には愛されたいけど鬼には愛されたくなかった。/肆【鬼滅の刃】

１７０話＊錆びてる刃物って怖いよね ページ41

えええ〜、人形壊れちゃったんだけどどうすんのコレェ〜？



そう思ったのもつかの間だった。

崩れ落ちる装甲。その中から出てきたのは……刀？



『な、なんか出た……』
「何か出たァーッ‼ こここ小鉄君、A、何か出た‼」
『人形の中から何か出てきたァァァッ‼ 何コレ⁉』
「いやいやいやわからないです俺も！何でしょうかこれ‼」


こ、小鉄君でさえ知らないの⁈ でもこれ、人形の中から出てきたよね？ってことは……


『少なくとも四百年ぐらい前の刀ってことだよね⁉』
「そうだよねこれ……！やばいねどうする⁉」
「興奮が抑えられませんね‼」



炭治郎と小鉄君は新しいおもちゃを与えられた子供のような顔をしていらっしゃる。

けど、多分私も同じような顔をしているんだろうな。


だって、だって、四百年前の刀だよ⁈
おこがましいのはわかってるけど、ぜひともその刀身を見てみたいと言うかなんと言うか……


でも、そう思ったのは炭治郎も小鉄君も同様だったみたいで、さっきから私の隣で「貰っちゃってくださいよ！」「いや、駄目でしょ！」という会話を繰り返している。



『炭治郎貰っちゃいなよ！』
「そうですよ！持ち主の俺が言うんだし！……ちょっと抜いてみます？」
『そうだよね、見たいよね‼』


四百年前の刀……！
私達は目を輝かせて抜刀する炭治郎の手元に注目した。けど……




『oh……』



刀は鉛色を見つけるのが難しいほど錆びていた。

いやホントにめっちゃ錆びてる。潔癖症の人が見たらぶっ倒れそうなレベルで錆びてるよコレェ……
ここまで錆びてると危ない菌とか持ってそうだよね。



「いや当然ですよね、四百年とか……誰も手入れしてないし、知らなかったし……すみませんぬか喜びさせて……」
「大丈夫‼ 気にしてないよ」


そう言う炭治郎の目には滝のような涙が。
うわぁ、小鉄君もパニクってるよ。私は今日初めて十歳の子を困惑させるレベルで泣いてる人を見た。





──その時だった。


ズン、と地響きにも似た音がした。
その音がした森の奥を見れば、大きな影が。


「く、熊？」
『いや、あれは多分人影……』


その人影はゆっくりとこちらに近づいて来る。
……あれ？あの人、顔赤くない？あれは……ひょっとこのお面、だよね？


この里の人達のお面は一人ひとり少しずつデザインが違っている。けど、あのデザインのお面には見覚えがある。

あれは……あれは……




『「うわああああああああああああああ!!!」』

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