163話*麒麟失道案件 ページ34
私達は絶眠絶食状態。炭治郎はそれに加え絶水の生き地獄を体験させられた。
地獄の三丁目あたりにでも迷い込んだのかと錯覚したのは一度だけのことではない。
「あ、Aさん次腕立て伏せですね!じゃあ俺上に乗るんで。あーッ!炭治郎さん遅い!全然ダメ!」
『押忍……』
そんな私達の唯一の休憩時間は小鉄君がいない深夜だ。
私と炭治郎はその時間、お互い自分が経験した面白かったこととかを話す。
そうやって少しでも癒される時間を作らないと病む。確実に。
「……そうだ、A。一つ気になった事があるんだけど聞いていいか?」
『えッ、何?』
その日、炭治郎は少し言いにくそうに切り出した。
気になった事って……私、また知らぬ間に醜態晒してた⁇
「Aはまだ何か悩みを抱えてるのか?」
『悩み?特にないけど……強いて言うなら小鉄君の修行が辛すぎて病みそうかな!』
だってこれ、麒麟だったら百パー失道してるよ?
でも炭治郎が言いたいのはそれじゃないらしい。眉間にめっちゃシワよってるもん。
そういえば炭治郎も疲れてイライラしてるんだったな。
『メ、メンゴリーヌ……兎も角、今のところ深刻な悩みはないよ。炭治郎達のお陰でいろいろ解決したしね……どうしてそんな事聞いたの?』
「そうか、それなら良かった。実はAからまだあの匂いがしていたんだけど……俺の気のせいだったらしい」
あの匂いってのは私が悩みを抱えていた時の匂いって事かな。
百発百中と言っても過言ではない炭治郎の鼻が効かなくなるなんて……相当疲労が溜まっているんだな。
「人が悩み苦しんでる時の匂いって鬼の匂いと凄く似ているんだ。
もしかしたら鬼も心のどこかでは鬼になってしまったことを後悔して、悩み苦しんでるのかもしれないな」
『鬼も……そっか、』
鬼の中にもなりたくてなったわけじゃないのに、止むを得ず鬼になってしまった人も沢山いるはずだよね。
その代表格が禰豆子ちゃんだよね。
下弦の伍……蜘蛛鬼の累も病気で苦しんで、もの凄く辛かった時に救ってくれた人が偶然鬼だっただけだし。
もし私が累の立場でもその誘いに乗ってしまう気がする。
『──ッ⁉』
「A!どうした⁉」
その刹那、頭に割れるような痛みが走った。
炭治郎が声をかけてくれたはずだけど、もはや聞こえるのは鋭利な耳鳴りだけだった。
『だいじょう、ぶ』
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紅乱 - セブンス・エイカンさん» 小さい頃あの絵描き歌意味わかんなくてギャン泣きした記憶あります。(白目) 応援ありがとうございます! (2020年4月2日 18時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
セブンス・エイカン(プロフ) - 関係ないけどハクション大魔王の絵描き歌って意味不明ですよね。ワオワオワオワオ!!とか言い出しますもん。続編に行っても頑張ってください! (2020年4月2日 18時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - 匿名さん» 麦茶吹いたんですか!?ハンカチどうぞ・ω・)っ◇ シャーロット家次男は皆さんご存知のカタ○リさんです。笑ってもらえたなら嬉しいです! (2020年3月31日 13時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - カバは可愛いから〜のくだりで飲んでた麦茶吹きました。そしてシャーロット家次男ww (2020年3月31日 12時) (レス) id: eb8e936342 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - セブンス・エイカンさん» 小鉄君は真顔でエグいことする子だと信じて疑ってません。(失礼) 嬉しいコメント本っっ当にありがとうございます!頑張ります!! (2020年3月29日 17時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
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