人には愛されたいけど鬼には愛されたくなかった。/肆【鬼滅の刃】

１４９話＊地雷ですマジで ページ19

霞柱は私を見て首をかしげる。


「誰だっけ君、その目、どこかで……」


ああ、計三回会ってるからね。知ってるのは当然でしょう。


「何だっけ、君の名前……どこかで会った……気もするけど気のせいかな。何だっけ、あの虫の名前」
『気のせいじゃないから！てか諦めんなよ私の名前は虫以下か⁈』



霞柱は私を一瞥すると、炭治郎の方に向き直った。
あれ？私今無視された⁇
でも残念だったなァ！私は無視された程度でへこむようなメンタルじゃないんだよ‼

霞柱の腕を掴み、睨みつける。


「頭が悪いのかな？鬼殺隊士のその子でさえ今僕に突き飛ばされたよね。もっと弱い君は骨が折れるかもよ」
『え、やだ、私痛いの嫌いだよ。怖いこと言うのやめてくれない⁇』



元の世界に戻った時、怪我のせいで念願の野球ができなかったら嫌だからね。


それに私は痛いのが嫌いだ。いやマジで本当に。
痛かったり苦しかったりするのはあんまり好きじゃない。


霞柱は心底ウザそうな顔をしながらも私の手を解き、手刀を構える。
マジかコイツ女にも容赦ねぇな。



てか本当に痛いの嫌いなんだけどやめて本当マジでお願いしますよ(早口)

でもまあ、ここまで啖呵切っといて目を瞑るのはダサすぎるので死ぬ気で霞柱の顔を睨み返す。









──その時だった




「あ、思い出した」




恐れていた痛みは来なかった。彼の手は私の首に届くか届かないかの場所で止められて──いわゆる寸止め状態になっていたからだ。



「その目つき、思い出したよ。零藤に手を上げたらお館様に怒られる」
『みんな容赦ないぐらい人の地雷踏み抜くじゃん⁇』


好きでこの目つきで生まれたわけじゃないんだけどな。
それに、柱はみんな特にお館様への敬愛の念強いと思ってたけどこの子は特に強いな。


……お館様の話遮った炭治郎に石投げた時点で大体察してたけど。






「そうだ、あの柱合会議……。あれ、じゃあこの鬼の気配はその箱の中からかな」


その言葉を聞いた瞬間、炭治郎の顔色が変わった。


「それ……」
「触るな」


炭治郎は霞柱の手を払いのけると私に目配せしてみせる。
……ああ、なるほど。


今ので男の子の胸ぐらを掴んだ霞柱の手が緩んだ。
その隙に引き離せということだろう。



『大丈夫？君』
「はっ、はなせよ！」


手を振り払われてしまった……。でもまあ、仕方がないか。
他の里の人同様ひょっとこの仮面をつけたその男の子は酷く怯えているようだったから。

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