#32冗談 ページ34
さ「・・・A」
お兄ちゃんがまっすぐわたしを見つめる。その視線から逃れたくて、靴を履いて玄関から出ようとした。
後ろでお兄ちゃんが大きくため息をついた。
さ「わかったわかった!もうきかねぇから」
いつもの流れだ。聞かれたことをわたしが答えないと、お兄ちゃんは最初こそ粘り強く聞いてくるけど、必ず最後には諦めてくれる。あんまりしつこいと、わたしが拗ねることを知っているから。
さ「でも」
お兄ちゃんがわたしの髪を一房、手にとった。
さ「今度なんかされたら、俺に言えよ?」
お兄ちゃんが、サラサラと、わたしの髪をゆっくりと撫でる。
さ「そんなの忘れられるぐらい、俺がもっとすごいことしてやるから」
お兄ちゃんの綺麗な顔に、狂気の色が浮かんだ気がした。
「・・・お兄ちゃんが、そういう冗談言うの、珍しいね?」
途切れ途切れにそう返すのがやっとなくらい、ドキドキする。・・・冗談、なのはわかってるけど、あまりの色気に息ができない。お兄ちゃんはなんの返事もせず、妖艶な笑みを浮かべた。
乗り込んだタクシーの運転手さんが少しイライラしていたのは言うまでもない。
「すみませんでした・・・」
なぜかご機嫌な様子のお兄ちゃんと一緒に謝った。
ーそのころー
ころんside
ジ「おいころん!!」
「ちょ、ジェルくんぼく隣にいるんだから!叫ぶなよ!」
なんなんだよ。「聞きたいことあるんやけど」とジェルくんが僕の肩に手を回す。
・・・絶対ろくな質問じゃないでしょ。めっちゃにやにやしてるし。
ジ「昨日、どーやった?」
「・・・昨日?」
ジ「いや、今日か?まーどっちでもええんやけど。・・・Aちゃんのこと、抱いたんやろ?」
は!!!???
「いや、だから、なんもしてないって!!出会って一日だよ!?」
へんな夢は見ちゃったけど。隠さんでええって、とジェルくんが僕を抱き寄せる。
ジ「どんな感じのキスではじめたん?・・・ちょ、俺にもやってみて?」
・・・・・・。ジェルくんを静かに睨みつける。
ジ「・・・え、ほんまになんもやってないん!?」
こくんと頷く。ジェルくんが僕の顔をまじまじとみてくる。
ジ「ころんにもかわいいとこあったんやなw」
うるせぇ!!
Aとキスした夢見た、なんて言ったらもっとからかわれるのは目に見えてるから、秘密にしとこ。うん。
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Mona@イキり同盟(プロフ) - 初コメ失礼します!のりさんの小説は、良い意味で暗い感じがシリアスで面白いです!これからも体調に気をつけて更新頑張ってください!(*´ω`*)長文失礼しました!ps'因みにイキってないです(笑) (2020年3月31日 20時) (レス) id: 24e03cbe5d (このIDを非表示/違反報告)
じんじん(プロフ) - 続編おめでとうございます!莉犬くんの活躍楽しみにしてます♪ (2020年3月31日 16時) (レス) id: ddfea8250b (このIDを非表示/違反報告)
れもん - 続編楽しみです!毎話面白く、毎日この小説を読みに来てます! (2020年3月31日 14時) (レス) id: 0d4cdffdc2 (このIDを非表示/違反報告)
*紫月璃優*(プロフ) - 続編おめでとうございます!!続編も頑張ってください、楽しみにしてます!!毎回この作品通知に来てないかなと五分に1回程度は見てしまうほどこの作品愛してます!!w (2020年3月31日 9時) (レス) id: 0df71cded5 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - 毎回楽しみにしています。さとみくんの切なさに涙が出そうです。。 (2020年3月30日 18時) (レス) id: 5916594f72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のり | 作成日時:2020年1月7日 12時