#27まるで、奇跡のような ページ28
忘れよう。そう、思った。
本当に夢だったのかもしれないし、夢じゃなくてもころちゃんが寝ぼけて私のことを元カノだと勘違いしたのかもしれない。
「ほんとに、なんもされてないから大丈夫」
静かに、自分に言い聞かせるように、言った。
こ「ほらぁ!!本人がこー言ってるんだから、僕は無実だよ!!」
大きく足音を立てて、ころちゃんが廊下の奥へと姿を消す。動画の撮影を再開するのだろう。
「ちょっと、外の空気吸ってくるね?」
なんだか悲しくなって、1人になりたくて、ベランダへ出た。都内が一望できる。室内へと通じる窓を閉めて、大きく息を吸った。
「ーーーー本能が狂い始める 追い詰められたハツカネズミーーーー」
今、一番好きな歌を歌う。たまたま、何か漫画が読みたいなと検索したら、候補で出てきて、試しにタップしてみた。大声で好きな歌を歌うと、スッキリする。
今も、昔も。
「繰り返す フラッシュバック 蝉の声 2度とは帰らぬ君ーーー」
歌い手さんの高音はとても綺麗で、真似したくて、ずっと練習していたところだ。声を振り絞って歌う。
「透明な君は 僕を指差してたーーー。」
歌い切ると、一気に疲労感が襲ってきた。でも、歌う前のようなもやもやとした気持ちは、随分薄くなっている。
スッキリした気持ちで室内に戻る。
「・・・わ!?」
途端に、莉犬くんが抱きついてきた。
莉「今の、Aの声だよね!?めっちゃ感動した!!」
「・・・え、聞こえてたの?」
すごく恥ずかしい!!歌うことを仕事にしている人たちに今のを聞かれてたなんて・・・!!
ジ「ほんまにびっくりした。何、トレーニングとかしてたん!?」
さ「お前、そんなに歌うまかったか・・・!?」
る「めちゃくちゃ綺麗な歌声でした!少女レイ、ですよね?高音を伸ばすとことか、ほんとに綺麗で・・・!」
な「やばいでしょ!ちょっと息抜き程度に歌って今のレベルなら、ガチで歌ったら・・・」
こ「僕の歌い方とも、さとみくんの歌い方とも違う・・・。声が澄みすぎててびっくりした」
「やめてください。その気になっちゃうから」
動画を撮りに戻ったはずのころちゃんまでいた。みんな、さすがにお世辞だよね。
な「・・・すごい才能、だね。」
なーくんたち6人全員思いついたあるアイデアなんて、この時の私はまだ知らなかった。
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Mona@イキり同盟(プロフ) - 初コメ失礼します!のりさんの小説は、良い意味で暗い感じがシリアスで面白いです!これからも体調に気をつけて更新頑張ってください!(*´ω`*)長文失礼しました!ps'因みにイキってないです(笑) (2020年3月31日 20時) (レス) id: 24e03cbe5d (このIDを非表示/違反報告)
じんじん(プロフ) - 続編おめでとうございます!莉犬くんの活躍楽しみにしてます♪ (2020年3月31日 16時) (レス) id: ddfea8250b (このIDを非表示/違反報告)
れもん - 続編楽しみです!毎話面白く、毎日この小説を読みに来てます! (2020年3月31日 14時) (レス) id: 0d4cdffdc2 (このIDを非表示/違反報告)
*紫月璃優*(プロフ) - 続編おめでとうございます!!続編も頑張ってください、楽しみにしてます!!毎回この作品通知に来てないかなと五分に1回程度は見てしまうほどこの作品愛してます!!w (2020年3月31日 9時) (レス) id: 0df71cded5 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - 毎回楽しみにしています。さとみくんの切なさに涙が出そうです。。 (2020年3月30日 18時) (レス) id: 5916594f72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のり | 作成日時:2020年1月7日 12時