#25みんなには、内緒。 ページ26
るぅとくんは、目を逸らさない。じっと私の方を見つめてくる。
「・・・るぅと、くんは、結構食べるのゆっくりなんだね?」
その視線に耐えきれず、話しかけた。すると、るぅとくんは悲しそうな顔をして言った。
る「僕、トマト苦手なんです・・・」
「え、そうなの?」
るぅとくんのお皿を見ると、たしかにトマトが2つ、残っている。
る「さとみくんに、僕食べられませんって言っても、許してくれなくって」
お兄ちゃんはそういうところ厳しいからなぁ。
る「さとみくーん、やっぱり僕無理です!」
るぅとくんが、スマホをいじっていたお兄ちゃんに訴える。
さ「だーめ、ちゃんと食え!」
お兄ちゃんに即返事をされて、がっくりとうなだれるるぅとくん。・・・ずっとこうしてるのかな?なんだか、かわいそうになってきた。
るぅとくんの肩をこっそりつつく。
「・・・ね、私が食べてあげよっか?」
る「ほんとですか!?」
さ「ん?どーしたるぅと?」
慌ててるぅとくんに「しーっ!」とジェスチャーをする。るぅとくんも慌てて「なんでもないです!」とお兄ちゃんに返した。
お兄ちゃんにバレないように、トマトをささっと口に放り込んだ。
る「だ、大丈夫ですか・・・?」
結構トマトが大きくて、頑張ってもぐもぐしていると、るぅとくんが心配そうに声をかけてくれた。
「ん、だい、じょーぶ!」
トマトを飲み込むと、るぅとくんがお礼です、と私の手をとって、飴を一個、手に握らせてくれた。
「わ、いちご味の飴!?嬉しい・・・!」
素直に嬉しかったのでありがとう、というと、るぅとくんがふふっと笑った。
る「喜んでもらえてよかったです。僕のお気に入りの味なんです。・・・みんなには、内緒ですよ?」
微笑みながら言うるぅとくんの顔があまりにも綺麗で、まばたきができなかった。るぅとくんがそっと手を離す。
る「あんまりすると、さとみくんに怒られちゃいますから。食べ終えたら、さとみくんが家からAさんの着替え持ってきたそうなので、それに着替えるといいですよ。」
「あ、うん。るぅとくん、飴、ありがとう!」
小声でもう一度お礼を言うと、るぅとくんは口に人差し指をあてて笑った。
る「みんなには、内緒。」
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Mona@イキり同盟(プロフ) - 初コメ失礼します!のりさんの小説は、良い意味で暗い感じがシリアスで面白いです!これからも体調に気をつけて更新頑張ってください!(*´ω`*)長文失礼しました!ps'因みにイキってないです(笑) (2020年3月31日 20時) (レス) id: 24e03cbe5d (このIDを非表示/違反報告)
じんじん(プロフ) - 続編おめでとうございます!莉犬くんの活躍楽しみにしてます♪ (2020年3月31日 16時) (レス) id: ddfea8250b (このIDを非表示/違反報告)
れもん - 続編楽しみです!毎話面白く、毎日この小説を読みに来てます! (2020年3月31日 14時) (レス) id: 0d4cdffdc2 (このIDを非表示/違反報告)
*紫月璃優*(プロフ) - 続編おめでとうございます!!続編も頑張ってください、楽しみにしてます!!毎回この作品通知に来てないかなと五分に1回程度は見てしまうほどこの作品愛してます!!w (2020年3月31日 9時) (レス) id: 0df71cded5 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - 毎回楽しみにしています。さとみくんの切なさに涙が出そうです。。 (2020年3月30日 18時) (レス) id: 5916594f72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のり | 作成日時:2020年1月7日 12時