【呪術廻戦】いつかここから連れ出して【五条悟】

拙劣 ページ31

悟「いーから！さっさと始めようぜ」

A「うん、頑張る」



照れ隠しのぶっきらぼうな物言いにニヤけそうになるのを抑えて、まずは大きく深呼吸。
それから自分の体内、内側に意識を向けて、考える。

呪力は臍を起点に胸、肩、腕へと流すのがセオリー。この呪力操作が出来ないことには何も始まらない。
想いを力に、エネルギーに変換する。今までの理不尽も怒りも悲しみも、その全てを、今の自分の糧にする。

感じる。ような気がする。そして次第にお腹の辺りがスウッと軽くなるような感覚。
これは、出来てるのでは……？！



A「…………どう？」

悟「いや、全然」



一刀両断。出来ていると思ったのは気のせいだった。

顎に手を当てて唸りながら、悟はじっと僕を見る。
いや、微妙に焦点が合っていないから、きっと常人には見えないものを見ているのだろう。



悟「うーん、呪力は生まれてるけど、あんまり大きくないし行き渡ってないっていうか……まだ体の中心で燻ってるぐらい？」

A「そんなぁ……でも確かに、ちょっとお腹の辺りが軽くなるような感覚が……」



そう言って擦ったお腹から、ぐうぅ、と変な音がした。



悟「……Aさ、それ腹が減ってるだけじゃね？」

A「えっ……お腹が空くってこういう感じなの……？！」



お願いだから悟、うわぁマジかよとか言いたげなそんな目で見ないで。



悟「１日１食しか出してもらえてねーんだっけ？」

A「そうだね……それでも今までは平気だったんだけど、筋トレとか始めたせいかな？
増やしてもらえないか駄目元でお願いしてみようかな……」



それで怪しまれても困るけど……うーん……料理がしてみたいですとか言えばワンチャン……？



悟「空腹はしょうがないとしても、悪いけど呪術の特訓が前進してないんだよね。
Aだって、行き詰まってる自覚はあるだろ」

A「うん……やっぱり自分じゃまだ、自分の呪力すら分かんなくて……」

悟「でもこういうのってやっぱ感覚だからさ、言葉で教えられるようなもんじゃないし」



また悟は顎に手をやって何か考え込みだして、そうすると何も解らない僕は何も言えないまま黙りこむしかなくなる。

呪術は才能が8割。
「言葉では教えられない」というその言葉に、お前には才能が無いのだ、と暗に突き付けられたようで苦しい。

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