桜田さんは動じない【銀魂】

動じない7話　文化祭(５) ページ9

「さ、桜田さん！？」



「ここの生徒か・・・。チッ、まぁいい。」



桜田さんがお通をかばい、騒動の犯人に捕まった。



こんなときでも彼女はまったく動じていない。いつもどうりだ。・・・桜田さんはいったい何者なのだろう。



犯人の男はセンターにあったスタンドマイクに近寄り、叫んだ。




「理事長を呼べ！」



すでに客席から人はほとんど消えている。だが、群集は遠巻きになってステージの成り行きを見つめていた。



新八や風紀委員の面々はまだ、スタンディングの最前列にいた。



「おい、なにモンだてめーは！３秒以内にAから離れろ！ぶった切るぞ！」




「土方s・・君。一応学園設定なのでぶった切るはやめてください。(コソッ)」




「心配するなトシ。桜田さんのあの余裕な表情を見ろ。きっとあれは明日食べるバナナのことを考えているに違いない。(コソッ)」




「それはあんただろ！このクソ真面目なときにバナナのことなんか考えるか！」




「いや、そうとは限らねーぜぃ。確か三ヶ月前、あいつバナナ大好きとか言ってたような言ってなかったような・・・言ってなかったような・・・・・。」



「結局言ってねーじゃねーか！」



３Z面子のコントのような会話を見せ付けられていた犯人は、顔を真っ赤にしてついにキレた。




「うるせーっ！早く理事長よべっつってんだよ！」




「理事長じゃなくて委員長ではどうか！」




近藤が一歩前に出る。




「いらねーっつってんだろ！別に『長』がついてる奴だったら誰でもいいとかそんなんじゃねーんだ！」




男は怒りに満ちた声で丁寧につっこんだ。




そんな時、すんっと煙のにおいが鼻を突いた。






「私が理事長だよ。」






理事長だ。ステージの上の男を見上げ怯むことなく言い放った。



「あんた、なにが目的だい？」




「俺の目的は一つだ・・・・









文化祭を廃止にするんだ。来年以降、未来永劫な。それを今ここであんたが宣言しろ。」




その瞬間、ここにいる全ての人間は思った。そんなことをして何になるのかと。文化祭を廃止したところで男には何のメリットもないように思える。いったい何がしたいのか。



「文化祭を廃止って、なんでそんなことをしなきゃいけないんだい？」




理事長は男を睨みつける。



「つまんねーからだよ、文化祭が。」



低く言った男の声は、どことなく銀八の声のトーンに似ていた。

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