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収容所の食堂。

安っぽいプラスチックのトレーを持ち
だらし無く食べる凶悪犯に顔をしかめながら席を探した。

施設の関係者であろう女に
思わぬ形で接触出来たが
脱獄しようとしているのがバレないようにと
少し慎重になり過ぎた。

結局、何も収穫が無い。


「にしても、なんで犯罪者って
みんな食べ方汚いの?ここのマナーなの?」


本来なら幸福な時間であるはずなのに
見た目も空気もむさ苦しい。

選んだ席は柱の後ろの目立たない場所。


あのキズモノ集団と顔を合わせて食べる気にはなれない。


さして美味しくも無い煮物を口に入れた瞬間、

「オイ」

強い力で肩を掴まれた。

盛大に咳き込みながら涙目で振り返ると
唐茶で短髪の男が
殺意剥き出しの目でこちらを見下ろしていた。

額に十字のふる傷、目元に入った二本の紅。
誰が見ても分かる凶悪犯だ。

「ななななんでしょう」

震えながら男の言動を見守ることしか出来ない。

「お前」

ゆらりと男が動く。


あっこれ、ぶっ飛ばされる。


咄嗟に頭を防御し、衝撃に備える。


地面を叩きつける音。


しかし、俺じゃ無い。

防御を解くと、目の前で男が土下座していた。




「それのペンを俺に譲ってくれ!!」




「は?ペン?」



身に覚えの無いワードに戸惑う。

辺りを見回し、自らの胸ポケットに目が止まった。


胸ポケットに刺さった黒いボールペン。


こんな物知らない。


「頼む!絵を描いてねーと
俺の気がおかしくなりそうなんだ!」


懇願する男を今度は俺が見下ろす番だった。

「別に……」

自分のじゃねーしと言いかけて、
ボールペンを握り直す。

このボールペンが何なのか知らないが、
これは俺にとってはチャンスだ。


「なァ。てめーの知ってる ここの情報を教えろ。
そしたらくれてやる」

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しゃしゃねこ(プロフ) - あーたぁさんだぎぃさん» そういう事だったんですね!教えてくださり、ありがとうございます!更新、頑張って下さい! (2017年8月7日 17時) (レス) id: 0f734cf238 (このIDを非表示/違反報告)
あーたぁさんだぎぃ(プロフ) - かのんさん» メッセージありがとうございました!! (2017年8月7日 17時) (レス) id: 0b40d94bc8 (このIDを非表示/違反報告)
あーたぁさんだぎぃ(プロフ) - かのんさん» 目次の数字は、構想の段階で囚人番号に使用する予定だった数字です。番付方法から結構細かく設定していたんですが、モブの見分けがつかなくなりそうだったので止めました(笑)ゆるりと更新していきますので是非ともお付き合いよろしくお願いします。 (2017年8月7日 17時) (レス) id: 0b40d94bc8 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 凄い面白くて、読み応えがありますね!!つかぬことをお聞きするのですが、話の目次、0617とかって、どういう意味ですかね?教えてくだされば幸いです。更新頑張ってください! (2017年8月6日 23時) (レス) id: 0f734cf238 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーたぁさんだぎぃ | 作成日時:2017年8月5日 11時

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