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「___ ねぇ、大丈夫?」




顔の前で手を振られ
ようやく我にかえった。



「えっと、で何?」


自らの真っ白な白髪をぽりぽりと掻きあげる。

まだまだこれでも俺は二十代。
頭が白いのは生まれつきだ。


「君はただの寝不足。ちゃんと寝てるか聞いたの」


向かい合わせに座る女がまじまじと俺の顔を覗き込む。


「ほら酷いクマ」


片手を添え、俺のクマをなぞった。


「看守が俺のとこにわざわざ嫌がらせに来んだよ。
寝れるか」

「嫌がらせ?」

「なんかこう、寝てる時にガラス叩いたり」



ここに連れてこられてから一週間。


毎晩のように睡眠の邪魔をされる俺は


ついに今日
睡眠不足によって倒れ、この医務室に運び込まれた。


「そうか。それなら私が上に掛け合っておこう」


くるりとイスを回し、机に向き直ると
サラサラと紙に何かを書き込み始めた。


先程からコイツに感じている違和感の正体は
まるで医者の威厳がないような若年の横顔だろう。


しかし、纏う白衣は長年着込んでいるためか
小柄の割によく馴染んでいる。


手元に視線を写すと、俺の写真が貼り付けられた
カルテらしきものがあった。


俺のプロフィールとともに掲載された
見覚えの無い犯した罪の数々。
詐欺から窃盗、おまけに俺は殺人までしたことになっている。



もちろんやっていない。



「私が言えば今日からでもぐっすりだ。」


カルテを脇に抱え、ドアの方へ歩く。


「ではお大事に」


目を細め、医務室を出る俺を見送った。


「また寝れなくなったらおいで」

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しゃしゃねこ(プロフ) - あーたぁさんだぎぃさん» そういう事だったんですね!教えてくださり、ありがとうございます!更新、頑張って下さい! (2017年8月7日 17時) (レス) id: 0f734cf238 (このIDを非表示/違反報告)
あーたぁさんだぎぃ(プロフ) - かのんさん» メッセージありがとうございました!! (2017年8月7日 17時) (レス) id: 0b40d94bc8 (このIDを非表示/違反報告)
あーたぁさんだぎぃ(プロフ) - かのんさん» 目次の数字は、構想の段階で囚人番号に使用する予定だった数字です。番付方法から結構細かく設定していたんですが、モブの見分けがつかなくなりそうだったので止めました(笑)ゆるりと更新していきますので是非ともお付き合いよろしくお願いします。 (2017年8月7日 17時) (レス) id: 0b40d94bc8 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 凄い面白くて、読み応えがありますね!!つかぬことをお聞きするのですが、話の目次、0617とかって、どういう意味ですかね?教えてくだされば幸いです。更新頑張ってください! (2017年8月6日 23時) (レス) id: 0f734cf238 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーたぁさんだぎぃ | 作成日時:2017年8月5日 11時

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