十二話 ページ13
「見て、あそこにいるのがそうじゃないかしら?」
新生児室の大きなガラス窓の向こうには、数人の赤ん坊が並んで眠っていた。
一番隅のベッドにころんと寝かされているのが、私たちの孫らしい。
隣には、同じように小さな羽の生えた子供たちが眠っている。
「どの子もみんな、可愛いわ」
ジジたちが小さい頃を思い出すわねぇ、と楽しそうに赤ん坊を眺めているオレリア。
じっと眺めていると、並んだベッドの向こうに真っ白な羽が見え隠れする。
なんだろう、目を細める。
「あなた?」
『かわいいね』響くように聞こえた声は、アレンのものだった。
『このこがね、いっしょにいようって。だからね、もうだいじょうぶなんだよ』
アレンはそう言って、無邪気に笑うと──
「────あぁっ!!」
あの日、私の目の前で消えたように
パッ、と光の粒になって辺りに散った。
「どうしたの?」
オレリアが私の顔を覗き込む。
「今、アレンが」
いや、なんでもない。
見間違いだったかもしれない、とその言葉を取り消す。
アレンなはずがない。
アレンはもう、この世界にはいない。
あれは、私の意識が作った幻のはずなんだ──
そうでなければいけない。
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作者名:なないろ | 作成日時:2023年7月24日 20時