散歩してたら推し拾った【文スト】

36 ページ38

暫く、泣いたあとだろうか。

つい先程まで赤かった空はすっかり暗くなっていて、
奥に見える、建物達が輝いて見える。

『.....』

ぼんやりと、その建物一つ一つを眺め、時間をつぶす。

別に、家に帰りたくないわけじゃない。
外はもうすっかり冷えて寒いし、暖かいところで眠りたい。

でも、なんだかこの場所から離れたくない、そう思ってしまった。

『......ポートマフィアのビルみたい』

ふと、目に止まった高層ビルがポートマフィアのビルに見えて、私はクスリと笑いをこぼす。

『....私が"そっちの世界の住民"だったら、今頃、きっと────』

そこまで言いかけた時、私はハッとなって口を閉じる。

いけない、折角悲しさを紛らわせていたのに。

『.....』

河川敷で1人、ため息をこぼし、そしてまたビルを眺めようと前を向く。

すると

『...ん、』

また、ポートマフィアのビルに似た、ビルを見つけた。

『...今度はめっちゃ似てる...』

ここからじゃ見えずらいな、なんて立ち上がり、目を細める。

『...あんなビル、この街にあったんだ』

ひとつの高層ビルを4つのビルが囲むように設置されたビルたち。

そのビルに、紫の月が重なって、とっても綺麗────

『.....あれ、？』

ふと、私の中にひとつの違和感が生まれる。

『前、芥川くんとここに来た時、あんなビルなかった.......』

じゃあ、あれは一体？









「───Aはよく覚えているな」










『─────っえ？』

どうして、居ないなずの彼の声が聞こえるの、




『なんで、

芥川くん...........』






芥「迎えに来たぞ、A」

37？→←35

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す