散歩してたら推し拾った【文スト】

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芥川くんと過ごす予定であった日曜日、
私は芥川くんと出会った、あの場所に腰を下ろし赤く染った空を長いこと見上げていた

あの夜、芥川くんが元の世界へ"帰った"後

気づくと私はかつて彼が座っていたソファに座って、ぼんやりと部屋を眺め、振り返りをしていた

いつ、芥川くんが来たんだっけとか

いつ、芥川くんと服を見に行ったっけとか

初めて会った時、何食べたかなとか

意外と、彼が帰ってしまったあとの私は荒れた部屋に合わず冷静だった。

記憶がぼんやりと、夢みたいに途切れ途切れな中、ひとつだけはっきりと覚えていたことがある。

それは


彼といた時間は、とても短く、
が、それ以上にとても楽しかったということ。

『ただいま』と言えば当然のように「おかえり」と帰ってきて

何を食べたいかと聞けば可愛らしい返事が返ってきて

友人のような絡みをして

一緒に夜景を見に行ったりした

『っ、うぅ...ｯ』

頬を、生ぬるいものが流れ落ちてゆく。
目元が熱くて、視界もぼやぼやと崩れていく。

『行かないでよ...っ..』

なんて、今更言ったって意味の無いことをただひたすらに叫泣と共に呟く。

ここにはもう、いないってわかってるのに。

そう自覚すればするほど、微笑んに流れる水は止まらなかった

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