散歩してたら推し拾った【文スト】 (ページ14)

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『...』

あれから1週間がたった。

未だ芥川くんは帰れておらず、可哀想に、そう思う反面ほっとしている自分に嫌気がさした。

「A、入ってもいいか」

『！？は、はい！！？』

今考えていた彼が登場し、思わず声が裏返った。

『ど、どうしたの..？』

芥川くんは私の傍に来ると、なにか言いたげな瞳でこちらを見つめた。

『...んん？？』

少し見つめあった後、芥川くんは着ている服をキュッと握り

「.....言いにくかったのだが、..その..

キツイ。」

私にそう言った。

『.....あ、』

確かにキツそうだわ、なんて今頃気づいた私は慌てて芥川くんに謝罪をした。
いくら芥川くんが細かったとしても相手は男性、きついのは当たり前だ。
それを今まで我慢してたなんて......

『ほんっっっ...とにごめんなさい！！！！』
「いや、貴様が謝る必要などない、全ては僕がここに来たのが問題で...」
『そんな事言わないで？？？』

慌ててスマホで近くの服屋を探してみる。
すると1件の新しいメンズ用服屋ができていることに気づき、行ってみることにした。

『えっと....ひとまず一番大っきいパーカー探してくる！！』

*

『きれー..』

スマホで見つけたお店に入ってみれば、中が予想以上に綺麗で、思わず声が漏れる。

『あ、いや...今こんなこと考えてる場合じゃないや』

ぱっと思い出し、ひとまず奥まで見てみることにした。
すると芥川くんが

「...なあ」

と私のことを呼ぶ。

『何？』

振り返ると芥川くんは1着のワイシャツを持っていた。

「これが欲しい」
『え？いいけど...他は？』
「ない」
『え、』

欲の無さに思わず驚き、芥川くんを見つめる。
芥川くんの後ろには黒いパーカーだったり、ズボンだったりと
かっこいいものが沢山ならんでいる。
なのにワイシャツだけ...？

『さ、さすがにワイシャツ1枚じゃ過ごせないかなあ....』
「ふむ...ではこれと同じのを何着かもってくる」
『他のを持ってくるって言う選択肢はないの...？』

他の服には目もくれず先程持っていたワイシャツと同じものを探しに行った芥川くんの背中を見つめる。
文ストの世界では普段休みの時は何を着ていたんだろう、
そんな疑問が浮かぶ。
もしかして毎日あの黒いコートだったり...？

なんて考えている間に芥川くんはワイシャツを追加で2枚持ってこちらに歩いてきていた。
『あ、芥川くん！私と他の服も見てみようよ！』
私の言葉に彼は小さく頷いた
┈┈┈┈┈┈
服のセンスは偏見です！😖