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お父さんが玄関を開けると、
たたきには、靴がたくさん並んでて、
中から騒がしい子供のはしゃぐ声が聞こえてる。
お姉ちゃん家族も来てるんだ。
甥っ子の２歳の隼人がいれば、
お母さんもあんまり怖い顔は出来ないはず。
ちょっとほっとした。
隼人が気配を察して、
玄関に駆けつけてくる。
「じいじ、おかえりしゃい。
あっ、Aちゃん。
Aちゃんが遊び来た！」
隼人はいつ会っても、可愛いなあ。
パンプスを脱いでる私の手を引こうとして、
少し後ろにいる章ちゃんに気付いたみたい。
「Aちゃん、このお兄ちゃん、誰？」
「このお兄ちゃんは・・・」
「安田章大です。
よろしくな」
章ちゃんがしゃがみこんで、
隼人に視線を合わせて言う。
「ショータ。
はやとは２歳です。
よおしくします」
隼人がペコンてお辞儀して、
章ちゃんが、笑った。
「ショータ、何歳？
Aちゃんのおともらち？」
「３４歳。
Aちゃんの彼氏」
「カレチてなあに？」
「彼氏っていうのは・・・」
章ちゃんが説明に困ってると。
お父さんが、
「もうすぐ結婚する人の事」
補足でそう説明してくれた。
お姉ちゃんが、
隼人を追いかけて、
玄関で出て来た。
「初めまして。
姉の葉月です。
どうぞ。狭い家ですけど」
お母さんの代わりに、
章ちゃんを迎え入れてくれた。
食卓には、
焼肉の準備がされてて・・・
他にもよそ行きの手料理が並んでる。
お姉ちゃんの旦那さんは仕事で来てなくて、
弟の泰輝は出かけてて、まだ帰ってないみたい。
歓迎ムードっぽく見えるんだけど、
お母さんはまだ納得してない、
スッキリしない顔してる。
一応、章ちゃんに、
「娘がいつもお世話になってます。
至らないでしょうけど、よろしくお願いします」
とは、挨拶してくれたんだけど、
それって、ただ、
章ちゃんが私の勤務先の経営者だからっていうのは、明白で。
結婚を認めたわけではないっていう結界を張ってるのが、嫌でも伝わる。
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2018年9月10日 10時
