第百九十四話 ページ45
してません、と繋いでいない手で先生の背中を叩く。
繋いだ手から先生の手のぬくもりが伝って、顔が沸騰しているように熱い。できるだけ頬をマフラーの影へと沈めて、誰にも見られないように隠した。
「映画見終わったらテキトーなファミレスにでも入ろうぜ。お前どうせいいところより気軽に入れる店のが好きだろ」
「……先生、何気に私のことよく分かってますね」
「俺も同じだもん。高級なレストランってぶっちゃけ美味しいんだかまずいんだかよくわかんねぇんだよな。やっぱ安いもんが一番腹も幸福感も満たされるわ」
「何それ、先生らしい」
くすくす、と笑いながら、きっと私も同じことを言うだろうと考えた。高級レストランなんて入ったことはないけど、そんなお店で何千円の品を一つ頼むくらいだったら、ファストフードでいろんなものを食べたい。
そんな私を見て、先生は私の手を握る手に力を込めた。少しだけ痛いが気になるほどではないため、首をかしげる。
「最近の美食はもっぱらお前の弁当な」
「……ッ！？ 急にデレるのやめてください！」
「なんだよ、嬉しくねぇの？」
「嬉しくないわけないでしょ……！ 恥ずかしいんですっ」
こちらも同じくらいの強さで先生の手を握り返し、恥ずかしさを誤魔化す。
先生は面白いものを見たかのようにくっく、と笑いながら、歩を進めた。
着いた映画館は、朝早くだったためかそんなに賑わってはいなくて、先生は慣れた手つきで二人分のチケットを買う。ちなみに「学生割引いいよな。俺も大学生って言ったら入れるか？」と言ってたので、そっと大人のボタンを押してあげた。
「正直言うと、大学生で普通に入れそうで怖いので全力で押しました」
「へぇ、俺そんな若く見えるか。嬉しいな」
「やかましいですよ。あ、勝手に私の分のお金入れるの禁止です」
「そこは大人しく奢られろよ。俺稼いでるぞ？」
「奢るんだったら今すぐ帰りまーす」
言いながら、しっかり投入機に夏目さんを必要枚数分入れて、出てきた小銭を回収する。
それと同時に吐き出された券を広い、先生に渡した。勝手に笑顔が浮かんでしまう頬に、少しだけ恥ずかしさを覚えた。
「なんか、わくわくしてきました」
「……そういうとこで素直だよな、お前。飲み物と食い物、どうする？」
「あまりお腹はすいてないんですけど、ポップコーン食べたい……」
「じゃ、シェアできるやつ買うぞ。……ちなみに味は、」
「塩」
「……割と気が合うな、俺ら」
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ステラさん» うわー嬉しいです！幸せだと言ってもらえることこそが幸せです！本当に励みになります！本当にありがとうございます！！ (2022年2月5日 23時) (
レス) id: 5d704cea99 (このIDを非表示/違反報告)
ステラ - 面白すぎて最近読み始めたのにもうここまできちゃいました！！！めちゃくちゃドキドキしてます！！素敵なものが読めて幸せです！ (2022年2月2日 23時) (レス) id: 3475edfef8 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 彩華さん» ツボ！！！！！うれしい！！！！！！更新遅くて本当に申し訳ございません。励みになります。頑張って更新します〜！！ (2021年11月20日 18時) (レス) id: aebfacbb01 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - Amamiyaさん» ありがとうございます！亀更新にもほどがありますが、完結させず放置することは絶対ございませんので、たまに覗きにきてやってください…！応援、励みになります！ (2021年11月20日 18時) (レス) id: aebfacbb01 (このIDを非表示/違反報告)
彩華 - やばい。ツボすぎます！一気読みしちゃいました！更新頑張ってください！ (2021年4月1日 22時) (レス) id: da4daeacca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年5月19日 17時
