第百六十九話 ページ20
お昼ご飯を軽く蕎麦屋で済まして、ついに私たちは自由行動へ。
先生は最初は別のところに行くらしいが、私たちと後で合流するらしい。
「あとでな」
「……ん」
私の頭に乗せられたその手が、軽く髪の毛を乱す。
少し恥ずかしくなって俯いていれば、ふに、と軽く頬をつねられた。
「そんな可愛い顔すんなよ、意地悪したくなるじゃねーか」
「こっ……の、淫行教師!」
先生の手を振りほどけば、愉快そうに笑っている先生の顔が目に入った。
「もう私行きますんで!」
「おー」
遠くで待っている千佳たちに駆け寄れば、千佳はくすくすと笑っていた。
「? どうかしたの、千佳」
「ううん、何でもなーい。早く地主神社行こ! 恋占い楽しみ!」
「うん、じゃ行こっか!」
地主神社は清水寺本殿からすぐ近くにある。
入り口はすでににぎわっていて、見落とすことなくその中へと入ることができた。
まず一番行くべきは、恋占いの石だろう。
順番待ちをして、すぐに私たちの番がやってきた。一番楽しみにしている千佳を先頭に、私たちは占いをすることにした。
「よし、行くよ!」
手前の恋占いの石の前に立って、千佳は目を閉じる。
そして無意識か両手を前に出して、ゆっくりと前へと歩き始める。覚束ない足取りだが、真っ直ぐ前へと向かっていて、数秒と経たないうちに問題なく千佳はもう一つの石へとたどり着くことができた。
「おほー!」
「何その奇声……問題なく、一回でたどり着いたら恋の成就が早いんだって」
「目指せモテ子!」
「千佳もうすでにモテてるでしょ……」
「じゃあ次は俺ー」
そういって樹が次に続く。
樹も、スポーツなどで磨かれたバランス感覚のおかげか問題なくたどり着くことができた。思ったより簡単なのか、これ?
と思いきや、次に和樹くんを歩かせたら、思い切り右に向かって歩き始めた。
「……止めるべき?」
「和樹くん、左左ー!」
「そんなに難しかったか、あれ?」
結局何回か軌道修正をすることで、和樹くんもようやっとゴールへたどり着けた。恋は難航するらしい。
そしてついに私の番。
片方の石を背に、私は目を瞑って立つ。
そして恐る恐る手を前に出し、見えない無機物を確認するように、ゆっくりと歩き始めた。
そんなに難しくはない……と思う。千佳もすいすい行けたし。
なんて、思ってると
「奏音、ちょっと左にずれてるー!」
途中で友達にアドバイスを受けたら、誰かの助けを借りて恋が成就するんだって。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ステラさん» うわー嬉しいです!幸せだと言ってもらえることこそが幸せです!本当に励みになります!本当にありがとうございます!! (2022年2月5日 23時) (レス) id: 5d704cea99 (このIDを非表示/違反報告)
ステラ - 面白すぎて最近読み始めたのにもうここまできちゃいました!!!めちゃくちゃドキドキしてます!!素敵なものが読めて幸せです! (2022年2月2日 23時) (レス) id: 3475edfef8 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 彩華さん» ツボ!!!!!うれしい!!!!!!更新遅くて本当に申し訳ございません。励みになります。頑張って更新します〜!! (2021年11月20日 18時) (レス) id: aebfacbb01 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - Amamiyaさん» ありがとうございます!亀更新にもほどがありますが、完結させず放置することは絶対ございませんので、たまに覗きにきてやってください…!応援、励みになります! (2021年11月20日 18時) (レス) id: aebfacbb01 (このIDを非表示/違反報告)
彩華 - やばい。ツボすぎます!一気読みしちゃいました!更新頑張ってください! (2021年4月1日 22時) (レス) id: da4daeacca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年5月19日 17時