第百二十三話 ページ24
ピピー、とホイッスルがつんざくように体育館に鳴り響く。
不参加であろう現国の教師がジャンプボールのボールを真上に投げる係をやるらしい。ジャンプボールは先生と……あ、敵チームはあの生活指導の先生だ。体育の先生もいる。
こちら側にいる先生で知っているのは、笹塚先生と数学の先生、あと科学の先生くらいか。
なんか分が悪いなぁ、なんて否定的な考えも、すぐに消えて無くなる。
現国の教師が真上に投げたボール。後ろに下がった彼につい意識を取られて一瞬視線が逸れたが、その視線を戻せば。
す、と跳ぶというよりかは飛ぶ、という字が合うように音もなく先生がその腕を真上に伸ばす。生徒指導も負けじと跳ぶが、コンパスの差で届かない。
私の頭をよく撫で乱す彼の長い指がしっかりとボールを捉え、後ろ側へと流した。
数学の先生がそれを捉え、ゲームは開始される。
笹塚先生は迷うことなくまっすぐゴールの下へと走り出した。数学の先生もドリブルをして彼のあとを追うが、すかさず生活指導の先生が笹塚先生の後ろについてガードを始めた。
だがそれをものともしてないらしい笹塚先生はするりとターンをしてそれを避け、パスされたボールを綺麗なフォームでレイアップを決め、まずは一点。
わぁっと歓声が響き渡る。
すごい、うまい。基本スポーツはなんでもできるといっていたらしいが、動きが綺麗だ。
あぁ、魅せられる。吸い寄せられる。
応援も、それどころか呼吸さえも忘れて先生をみる。汗ひとつかいていない先生は私を見てに、と得意げな笑みを浮かべた。
「先生かっこいいー！」
千佳が思わず叫ぶ。
注意したいところだが、同意の言葉しか出てこなさそうだ。本当に格好いい。
「やっべぇな、うちの担任。ハイスペックすぎて時々わかんなくなるわ」
「卑怯だよね。一個くらい弱点あればまだ愛嬌あるのに」
思わず恨み言が漏れるが、そんなことを言っている暇にまたゲームは再開する。体育の先生が綺麗なドリブルを披露してくれている。それにつくのは別の私の知らない教師だ。
笹塚先生は生徒指導の先生のガードに徹している。
「あぁー！」
パスを繰り返して体育の先生がシュート。これで同点になった。
線の外から笹塚先生が科学の先生にパス、そしてすごいスピードでコートを走り抜けてゴールのもとへ。
生徒指導の先生を置いてきぼりにしノーマークの彼は、難なくパスを受け取りシュートを決めた。
「スリーポイントォ！」
興奮した樹の声に、漏れる吐息。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 196人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - みっちゃんさん» ありがとうございます！これからもバンバン頑張ります！一気に読んでくださってうれしい…これからも何卒よろしくお願いいたします！！ (2019年5月11日 19時) (
レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - このお話大好きです！一気に読んだんですけどすっごい楽しいです！これからも頑張ってください！ (2019年4月4日 2時) (レス) id: b4edfa4067 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - あだ名がンゴって…さん» うわー！ありがとうございます！そういっていただけただけですごくうれしいです。コメント励みになります。これからも頑張らせていただきます！ (2019年4月1日 21時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
あだ名がンゴって… - 初コメ失礼します。あなたの文才、ください（切実）めっっっっちゃ好きですもうなんなんですか大好きです。更新頑張ってください！！！ (2019年3月31日 11時) (レス) id: d0cbd630d9 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - セツナさん» うっありがとうございます（泣）尊敬に値するようにもっと文才磨きます！ゆっくり亀さんに呪われていますが頑張って更新させていただきます！ (2019年1月9日 22時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月25日 13時
