第百二十話 ページ21
テキトーに下位決定戦を見送って、樹たちの体力も十分に回復した頃に決勝戦が行われた。
決勝戦はなんと私たちのクラスと生徒会長のクラスで、しかもその生徒会長本人も参加している。
「生徒会長って運動できたんだねー」
「うん、私も知らなかった」
意外と言ってしまえばそれまでだろうが、会長の足運びは樹に勝るとも劣らない。そして樹と和樹くん以外に目立ったサッカー選手がいない私たちと違って、三年は有力候補で固めてきたようだ。
「あーっ……」
「これが年の功ってやつかー!」
何気難しい言葉を使っている千佳と一緒に、入れられてしまったボールを悔しがる。先に点を取られてしまい焦ったらしい私たちのクラスはどんどんミスをしてしまい、点差は広がる一方だった。
樹が決めた一点以外は決まることはなく、結果1-2でわたし達は準決勝で終わった。
「おつかれー」
「くっそー、悔しい!」
「相手格上だったね」
樹が地面に横たわってうなだれていると、おそらくサッカー部の先輩らしい優勝クラスの生徒が樹をからかいにきた。
足蹴にしているのは一応コミュニケーションのつもりなのだろうか。
「悪いなぁ、ガールフレンドの応援を無駄にしちまって」
「彼女じゃな、いってぇ先輩いてぇっす!」
「ただの幼馴染とクラスメートです」
「です!」
その後お昼休憩を挟み、私たちは一旦教室に戻り四人で昼ご飯を食べた。
ちなみに先生の分の昼飯も渡しておいた。
お昼ご飯を食べ終わればすぐに私たちのドッヂの番だ。
「嫌だなぁ……」
はしたなくも箸を甘噛みしながら呟けば、苦笑が帰ってくる。
「姉御、体育だけは優等生じゃないもんな」
「生まれついたものだからね。努力じゃ変えられないものも世の中にはあるんだよ」
「難しいこと言ってぇ」
決して運痴ではない。だけどすこぶる成績がいいわけでもないのだ。
面倒臭いなぁ、と憂鬱なため息はその場で一回、そして体育館でコート上に立って再びもう一回、発せられた。
どうやら樹も和樹くんもドッヂには参加するらしい。というかおそらく男子生徒はみんな参加したんじゃないだろうか。
ほかのスポーツをやりたがらなかった女子もちらほらいる。
そして観客席に先生の姿。憎たらしげに笑みを浮かべてはこちらに向かって手を振ってくる。
ここで一発退場とかしたら後世まで笑われる気がする。
体育館中に鋭く鳴るホイッスルを耳に、私はすぐ動けるように腰を低くして動きを待った。
196人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - みっちゃんさん» ありがとうございます!これからもバンバン頑張ります!一気に読んでくださってうれしい…これからも何卒よろしくお願いいたします!! (2019年5月11日 19時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - このお話大好きです!一気に読んだんですけどすっごい楽しいです!これからも頑張ってください! (2019年4月4日 2時) (レス) id: b4edfa4067 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - あだ名がンゴって…さん» うわー!ありがとうございます!そういっていただけただけですごくうれしいです。コメント励みになります。これからも頑張らせていただきます! (2019年4月1日 21時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
あだ名がンゴって… - 初コメ失礼します。あなたの文才、ください(切実)めっっっっちゃ好きですもうなんなんですか大好きです。更新頑張ってください!!! (2019年3月31日 11時) (レス) id: d0cbd630d9 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - セツナさん» うっありがとうございます(泣)尊敬に値するようにもっと文才磨きます!ゆっくり亀さんに呪われていますが頑張って更新させていただきます! (2019年1月9日 22時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年6月25日 13時