【3】サド教師とツンデレ生徒【名前変換オリジナル】

第百十八話 ページ19

「来週は球技大会です」

そうHRで簡潔に告げれば、返ってきたのは微妙な反応だ。可もなく不可もなく。授業がないならいいんじゃない。そういった態度だろう。
私も同意だ。まぁ、運動は苦手ではない。熱くなりすぎないように、今年は千佳と一緒にいよう。あの子は勝ち負けにドライだから、つられて私も冷めるだろう。

「今年あるのはバスケ、サッカー、バレー、ドッヂ、バドミントンとなっております。学年対抗なので、2年同士力を合わせて頑張りましょう」
「姉御、俺サッカー！」

まだ聞いてもいないのに樹が手を挙げて主張する。
まぁいいけど、と私は素早く黒板にサッカーと樹の名前を書いた。

「とりあえず全員強制参加の最低一つ、最大二つの競技まで参加可能です。バドミントンは二人まで、サッカーは七人、バレーは六人、バスケは五人。ドッヂボールは未制限です。では、前に出て好きな競技の下に名前を書いてください」

そういって黒板の前を開ければ、有志の者たちからどんどん名前を書き始める。
人数の少な目なバスケなど、もう埋まりそうだ。男子のスポーツ！ってイメージが無きにしも非ず。

「奏音！ どれにする？」
「バレーかドッヂかで悩んでる」
「やっぱそれだよねぇ……」

余り物でいいや、と千佳と肩を並べて教室の端っこで待っていると、先生がいつものように歩み寄ってきた。

「知崎、邦月、お前ら何にするんだ？」
「バレーかドッヂか、余った方に入ると思います」
「じゃあ多分ドッヂだな」

言われて前をあおげば、たしかにバレーはもう五人の名前が連なっている。千佳と一緒に参加したいなら、ドッヂになるだろうな。
書いてくるねー、と千佳は意気揚々と前に向かって歩いていった。ちなみに和樹くんも樹と一緒にサッカーをするらしい。楽しみだ。

「ドッヂの自信のほどは？」
「微妙、かなぁ。逃げるのはそこそこ自信あるんですけど、当てるのがなかなか」
「ノーコンなのか」

ぷ、と先生が含み笑いをする。
あれ、これはバカにされているのか？
背後に立っている先生に不快げな顔をすると、いつも通り軽い口調で謝られた。

「先生たちは参加しないんですっけ」
「教師対抗もやろうって体育教師が騒いでる。迷惑ったらありゃしねぇな」
「そう言いながらどうせどんなスポーツもこなしてしまうんでしょうね、さすがみんなの笹塚先生」
「お褒めに預かり光栄です」

ぺこりとどこかの執事ばりに綺麗な礼をしてみせた先生を蹴ろうかと思った。

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