第四話 ページ5
「……遅いな、千佳」
プリントを半分まで終わらせたところで、私は顔をあげた。
千佳がいるべき席は、まだ空席のまま。
まだあの教師と一緒に仕事をしているのか？
だけど、それは非常識すぎる。
生徒の授業を割いてまで手伝わせるだなんて、教師としておかしい。
決めつけるのはどうかと思うが、これは一発文句を言わなきゃいけない気がする。
「委員長ー！後で写させてくれよな！」
「だが断る」
「そこを何とか！」
「ダメじゃ」
からかうような口調で、だけどはっきりと断る。
確かに頼られるのは好きだし誰かを助けることも好きだけれど、だからと言って彼らを怠惰に導くわけにはいかない。
自分自身で解かないと、抜き打ちなんて出た暁には困るのは彼らだし。
そう考える私も、相当の姉御肌だな、と嫌気がさす。
そしてちょうどその時、教室の扉は開かれた。
満面の笑みで、千佳がスキップをしながら教室に戻ってくる。
その調子のまま、数学が自習だと知るや否や私に向かって突撃してくる。
「聞ーてよ奏音！」
「あーはいはい、ちなみにこれ自習のプリントね」
「うわっ、三枚もある！……優しい奏音はもちろん、日直で大変だった親友のために……」
両手を組み、上目づかいで千佳は私を見る。
確かに千佳は、年齢の割にはツインテールが似合うようなふわふわとした森ガールだ。
そういう仕草も、とても似合う。
私はそんな千佳に対して、優しい慈愛の笑みを浮かべた。
「うん、分からない問題があったら遠慮なく聞いてね」
「写させてくれないのぉおお！」
どいつもこいつも写すことしか頭にないらしい。
自習だというのにさっきから筆箱が四方八方に飛んでるし。
後悔するのは彼らだし、私はもう気にしない方向でいいかな。
「ってかそんなことどーでもいいの！」
「いいんだ」
「良くないから写させて！」
「ダメ」
頑なに拒む私を見てついに諦めたのか、千佳は話の続きをする。
「笹塚先生、性格まで超イケメンなんだって！」
「……そう」
「なんていうんだろ、あ、某バスケ漫画の緑の人みたいな感じ！」
「占い見てるの？」
二ページ目の最後の問題を解き終え、私は千佳を見る。
違うの違うの！と発狂する千佳は、拳をさっきから上下に振りまくっている。
それは、とため息をつこうとした時、ゴッと何かが後頭部にぶつかる。
痛みに振り返れば、筆箱が目に入る。
ゆっくりと席を立ち、周りを見渡した。
静まり返る教室を睨みながら言う。
「プリント、やれ」
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アミ(プロフ) - めっちゃ面白いです！文才ありますねー！尊敬しますよ〜。 (2020年7月8日 20時) (
レス) id: 86dee03899 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 猫沢さん» ひゃー一作目のコメントなので確認できてませんでした！すみません感覚で掴む派なので文法苦手なんですよー！訂正有難うございます！変えておきますね！返事遅れて本当にすみませんでした！！ (2020年4月13日 14時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
猫沢(プロフ) - 続編前の作品にコメントするかどうか迷ったのですが、第七話のhaveのくだり、あれ過去形じゃなくて過去分詞形では…。すみません、気になったらコメントしちゃうタイプなんですううう… (2019年6月5日 1時) (レス) id: 3e8fc16044 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - お願いあるんだけど良いですかな?るろうに剣心の張×女体化そうじろうの恋愛長編を作って貰いますかな?始まりの出会いは幼少期で志々雄を出会う前で (2018年10月31日 16時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - matsumatsu1234さん» コメントが遅れて申し訳ありません！ウザかったですかね？でも根はいい子なので嫌わないであげてくださいｗｗ (2014年12月8日 19時) (レス) id: 37256eb247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年6月9日 0時
