玉狛のお姫様はボーダー最強 10 (ページ35)

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〜忍田〜

城戸｢なぜ君がここにいる｣

忍田｢色々ありまして｣

さっきあんな事があって、それでも1人で出歩かさせるなんて俺には出来ない

また唐沢さんに捕まって欲しくない

｢仕事のサボりはよくないですよ｣

忍田｢サボってない｣

想いがバレている以上、変に距離を取るのもバカらしく堂々と隣りに座った

Aの目の前には佐野屋の和菓子が置かれていた

俺は分かっていたつもりでいただけで、本当はAのことを何も知らない

忍田｢Aが一番好きな食べ物ってなんだ｣

｢フワフワのオムライス｣

忍田｢ん？｣

｢え？｣

忍田｢いや……予想外だったから｣

｢ふーん。まぁ、今まで私に興味なかったもんね｣

忍田｢ちが……｣

そうじゃない

蓮矢からAのことを聞いて知ったようになっていた

俺に記憶を消してくれと縋ったあのAは本心だった

楽しい記憶はこの先ずっとAを苦しめるだけなのに俺は、俺とAの共通の繋がりがなくなることを恐れた

忍田｢どうして……佐野屋が好きなんだ｣

｢自分で見つけたから。私の知ってる店は全部人に教えてもらったものだから｣

そうやって小さく笑うAは、何かに傷ついたようにも見えた

Aが笑うから俺は、その意味を無視していたのか

本当は全部違う笑顔(かお)なのに

忍田｢教えて……くれないか。Aのこと｣

知ったつもりでいるのも、知らなかったを言い訳にするのもやめよう

俺達(こっち)から歩み寄らなければ

小さな一歩でいい

もう二度とあんな無茶をさせないよう少しずつ信用を取り戻そう

Aは普通の中学生(女の子)なんだ

全てを押し付け背負わせるのは間違っている