玉狛のお姫様はボーダー最強 10 (ページ33)

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〜A〜

真史さんの時より空気が重い

ボーダー最高司令官が、たかが学生の夏休みの宿題の監視するなんてありえないよね

ほんと、何してんだこの組織って思われるよ

余計なお喋りはせず、じっと見てくるだけだから恐怖心は増す

正宗さんってイケメンの部類に入るんだろうけど顔が怖いんだよね

もっと笑えばいいのに

｢正宗さんに聞きたい事があるんですけど｣

城戸｢後でな｣

後で、ねぇ……

人ってそういう時絶対忘れてるんだよね

大した事じゃないからいいけど

城戸｢どこに行く｣

｢克己さんのとこでーす｣

これ以上待たせるわけにもいかない

あれが本気か、そうじゃなくても応えないと

唐沢｢おはよう。宿題どう？｣

｢おはようございます。順調ですよ。あの……それで返事なんですけど｣

唐沢｢はい以外は受け取らないよ？｣

｢……何で？｣

唐沢｢俺は欲張りだからね。Aちゃんが絶対欲しい｣

｢こんな子供を？｣

唐沢｢例え俺より歳上でもこの気持ちは変わらない。岸原Aだから、好きになったんだ｣

｢私なんか好きになる価値ないのに｣

唐沢｢あるよ｣

克己さんは私の頬に手を置いて、そっと唇を重ねてきた

真史さんのせいでキスに免疫がついて驚かなくなった

遊んでるみたいでやだな

もっと初心(うぶ)な反応のほうが可愛げあるのに

唐沢｢忍田さんで慣れちゃった？｣

｢ううん｣

唐沢｢そう……。じゃあ気持ちの良いキス、してみる？｣

何それと聞き返す前に、唇が重なって、口の中に生暖かいものが侵入してきた

今まで体験した事のない“何か”が体の内側を巡る

嫌だこれ。怖い

｢か…つ、みさ……｣

唐沢｢その反応はダメだよ。もっとしたくなる｣

何度も何度も角度を変えて襲われてると、気付けばソファーに倒されていた

｢あの……？｣

唐沢｢ちょっとだけ……いいかな？｣

｢な…にを？｣

唐沢さんはいつかの時みたく首筋に噛み付いた

その痕を見ると満足そうに笑った