玉狛のお姫様はボーダー最強 10 (ページ19)

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〜A〜

｢すみまーせん。これください｣

忍田｢食べるのか｣

｢だって私のは真史さんが食べたでしょ｣

忍田｢お前がよこしたんだろ！！｣

｢まぁまぁ。怒ると血圧上がりますよ。あ、デザートも頼んでいい｣

忍田｢好きにしろ｣

冷静になるとお腹すいた

さっきまで食欲がなかったのが嘘みたい

｢修くんの一口ちょーだい？｣

修｢もう平気なのか？｣

｢うん。ほら私って決めてたでしょ？｣

修｢……何を？｣

｢物事には鈍感で在るって。そうしたら人生楽に生きられるんだよ｣

遊真｢鈍感？鈍くなるってこと？｣

｢そうそう｣

遊真｢それは……正しいのか？｣

｢まさか。全然正しくないよ。むしろ悪いね。でもね、そうしないと自分で自分を嫌いになりそうなの

他人の良いとこを見ると必ず嫌なとこも一緒に見えてくる。嫌なとこを見てしまうと、他にも嫌なとこばかりが見えるようになる

嫌なとこしか見えなくなると、その人を嫌いになるしかなくなる

それを防ぐには鈍感で在るのが一番｣

正しいとか正しくないとか、そういう次元ではもう生きてない

そういう感情には気付かなかったらいい

それだけなんだ

遊真｢その鈍感っていうのは、自分の痛みにも鈍感になるのか？｣

｢そうだよ？｣

遊真｢それは、後で痛くなるなら先に痛みを感じたほうが楽なんじゃないのか｣

｢違うよ。先延ばしにしてるだけ。痛みも悲しみも今じゃなくて後からまとめて感じるようにしてるの｣

修｢それって……｣

木虎｢誰かにいじめられてるの！？それとも酷い事言われた！？｣

｢んー……｣

目の前の真史さんからは心もとない言葉でかなり傷つけられてるかな

本人に自覚ないから仕方ないけど

悪気がなければ何をしていいってわけではないよ？

むしろ傷ついたと正直に告白したんだから謝って欲しいよね

それにしても黒視蝶を大事なものだろと言われた時には痛いと同時にイラッともした

大事でなくとも、ただ持っているだけとは思ってくれないかな

無意識のうちに割り箸を折っていた

｢新しいの取って｣

忍田｢急にどうした｣

｢ちょっとストレスだった事を思い出しただけです｣

忍田｢(俺か……？俺だよな。あの目は)｣

痛みとか、そういう系なら先延ばしでもいいけど、怒りは今じゃないといけない

でないと怒りは何億倍にも膨れ上がりそう

そんなことになったら関係のない人に八つ当たりしてしまいそうで怖い