玉狛のお姫様はボーダー最強 8 【過去編】 (ページ11)

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～唐沢～

唐沢｢はぁ……」

彼女を閉じ込めて2週間か

相変わらず喋れないが、忍田さんにだけなら少し心を許していた

唐沢｢シャワーですか。女の子ですもんね。彼女も」

見張り番のようにドアの横の壁に凭れかかっている忍田本部長に声をかけると、氷のように冷たい視線を向けられた

そんな敵意剥き出しにならなくても……

多少の雑談のつもりだったのだが

中からドアを叩く音がすると中から彼女が出てきた

表情は変わらずだが、確かに動いている

彼女は抱きかかえられたまま行ってしまった

唐沢｢よかった。よか……」

壁を背に足の力が抜けズルズルと座り込んだ

ついこの間までは、死んでるんじゃないかと思うくらい瞬き一つしなかったのに

立てなくなるぐらい安心しきった

彼女の目に俺なんか映ってなかった

この先映ることはないかもしれない

それでも……俺は知ってるんだ

彼女の父親がボーダー(ここ)にいて、家族を守るために闘っていたことを

～忍田～

今日からAは私の部屋で寝るのか

自分の匂いが気になっていたからラベンダーの消臭剤を置いてみたが無反応

忍田｢この匂い平気か？」

｢((ｺｸﾘ」

会話が成り立つようになったとはいえ、疑問(質問)になれば頷く

忍田｢好きな香りがあるなら言ってくれ。それと変えるから」

｢……………((ｺｸﾘ」

初めて疑問(質問)以外で頷いた

良かったと思うべきなのだろうか？

自分の意志を示したんだ

苦しいながらに前に進もうとしている証拠

忍田｢おいでA。寝よう」

｢((ﾌﾙﾌﾙ」

忍田｢……！？」

なんでだ！？

この年で男と寝るのは恥ずかしいとか？

それとも単に嫌なのか？

どちらにしても、拒絶されたら傷つく

忍田｢そこがいいのか？」

｢((ｺｸﾘ」

どうやらAは固く冷たい床で寝なければいけないと思っているらしい

忍田｢そうか。でも私は1人だと寂しいからAと一緒に寝たいのだが」

｢………………((ｺｸﾘ」

Aは小さな体で頑張ってベッドによじ登ってきた

忍田｢おやすみA」