玉狛のお姫様はボーダー最強 14 (ページ8)

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ー翌朝ー

〜A〜

イザナ｢やぁ。おはよう。昨日は眠れたみたいだね｣

如月さんの言った通りこの人はボーダーにいた

私と接触するにはここに来るのが手っ取り早い

イザナ｢さてと。全員揃ったことだし始めようか。君のいるべき場所について｣

忍田｢ちょっと待て。さっきも言ったがAは物じゃない。我々が勝手に決めるのはお門違いだ｣

イザナ｢部外者である君達を交えた理由。分かってないようだから教えてあげるけど、これは君達の命を秤にかけた彼女への脅しだ｣

この人の笑顔は完璧だった

それが羨ましくて、怖くもあって……

イザナ｢君が間違えさえしなければ、私は約束を守るよ｣

｢私は……｣

独りじゃない

私の欲しい言葉をくれた人がいる

｢みっともなく足掻くと決めた。手を伸ばしたら掴んでくれると分かったから｣

イザナ｢勘違い、してるんだね｣

ゆっくりと近づいてきては、頬に手を添えながら瞳を覗いてきた

イザナ｢生まれてから一度だって愛されてこともないのに。求めても返ってこない愛情(もの)に縋って……。私なら愚息と違って、君に全てを与えてあげられる｣

耳に残るような声に目の前が真っ暗になる

何もない世界に、ただこの人の声だけが響く

イザナ｢よく思い出してごらん。一体誰が、君を必要としていた？｣

生まれたときから道具であることは決まっていて、それでも必死になって愛されようと頑張った

この人は私のそういう弱い部分を見つけてはつついてくる

私が弱い(脆い)ことを知ってるから

イザナ｢私は君に桧谷も如月も求めていない。たった一つ、君という存在だけが欲しいんだ｣

三河さんとも如月さんとも出会ってなければ、その言葉の暗示にかかって迷わずこの人の側にいることを選んだ

｢私は、この世界の誰も私を必要としてないことは知ってる。私に求められたのは桧谷蓮矢の娘で、家族に愛されている子供で、人形で在ること。それでも……。それでいいと私が決めた。それだけ｣

イザナ｢どうして……。いつからそんな目をするようになった……？何かに怯えて誰かに縋る。そんな人生を歩んでいくのかい？｣

｢それでいいと、言ってくれる人がいるから｣

イザナ｢君のせいでまた罪のない人間が死ぬとしても？逃げるのかい？人殺しの罪から｣

私は人を殺した

それは事実だ

私を救ってくれたその人を殺して、その記憶さえ消されて、自分を偽ってずっと生きてきた