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〜A〜
さっきから貰おうと手を出してるのにくれる気配がない
何で?
だってそれは如月さんが私のために用意した物であって当然、私が貰う権利がある
「資料を拾うの手伝ったお礼をください」
理由をつけてみるも渡ってこない
ええーー。だって私、今日めちゃくちゃ頑張ったよ?
ご褒美あってもよくない?
不破「はぁ……。光月がコレを欲しがる女の隊員に渡せって言った意味が分かった気がする。ほら」
「٩(*´∀`*)۶」
出水「そういや新作って何?」
「みたらし団子( ✧﹃✧)」
出水「え?みたらし団子?って、あの?え!?新作で、みたらし団子!!?」
「あげませんよ?」
出水「いらないけど。普通にビックリしてんだよ」
「ありがとうございますお兄さん」
不破「俺、不破って言うんだけど」
「………お兄さんは、なんか目に光りがないね」
出水「(あ、それ俺も思ってた)」
香取「(本人に言っていいの?)」
那須「(Aちゃん。それはダメよ)」
日浦「(言える度胸がすごいなぁ)」
不破「これは生まれつきだから。よく死んだ魚のような目って言われる」
唐沢「(初めて会ったとき俺も思ったな)」
忍田「(段々Aも遠慮がなくなってきてる)」
資料を集め終えたお兄さんは再び歩き出す
廊下の隅のほうにさっきまでなかったペンダントが落ちてて、多分それは、きっとお兄さんの物
拾って勝手に中を見ると家族写真が入ってた
呼び止めて返すと、切れてしまったチェーンを見てはもう落ちないようポケットにしまった
「息子さん可愛いですね。何歳になるんですか」
不破「6歳」
「じゃあ小学生だ」
不破「あぁ……。生きてたら」
寸分も動くことのない瞳は私を捉える
不破「4年半前のネイバー侵攻で死んだ」
下のほうの資料をクシャって握った
不破「嫌になるよ全く。俺だけがのうのうと生きて。2人が苦しんで死んでるのに、俺は商談が上手くいって酒飲んで二日酔いでぶっ倒れてたんだからな」
お兄さんは泣きそうな表情で笑っては飴をくれた
いちごミルク味
可愛いな
不破「息子が好きだったんだ。それ見つける度に買ってくれって強請って。その息子はもういない。なのに……見つけたらつい買っちまうんだ」
「お兄さんは食べないの?」
不破「食ってるよ。でも減らない。見ないように、避けても、その飴を探す自分がいるから。瓶にびっしり詰まってる」
「じゃあさ。本部で会ったら私にちょうだい」
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作者名:まゆ | 作成日時:2021年6月4日 9時