７５: 逃亡劇 ページ25
色んな人にぶつかっては謝りながら、放課後の校舎をふらふらと歩いた。
こんなにウロウロ徘徊しているのは良くないんだけど、じっとしていたら考えごとしか出来ない。
何度もため息を吐きながら、もう購買部に行ってやけ食いでもしようかと進行方向を変えた。
購買部へ向かうべく廊下の角を曲がると人にぶつかってよろけ、咄嗟に謝る。
「悪い……っ」
ぶつかって尻餅をつかせてしまった人物を見た瞬間、時間が止まったように静止した。
相手もまた同じように固まっていて、一緒に歩いていたTrickstarの４人が困惑の表情を浮かべている。
明「英智先輩、大丈夫…？」
衣「お２人ともどうかしましたか〜…？」
２人の声にようやく思考が復活し、伸ばされた手を躱すように身を引いてその場を駆け出した。
英「待って！ッスバルくん、北斗でも誰でもいいから彼を追いかけて！」
明「えっ、なに？追いかければ良いの？」
「いやいやいや追いかけてくんなよ！」
漫画のワンシーンかと思うようなセリフを交わしたかと思えば、予想だにしなかった逃亡劇が始まってしまう。
やっぱりウロウロするんじゃなかったなぁと後悔している暇もなく、曲がり角を曲がったすぐの部屋に勢いよく飛び込んで扉を抑えた。
忍「月永殿！？」
翠 鉄「月永先輩！？」
「悪い！今度はマジで本気で匿って！」
千「い、意味が分からないぞ！？取り敢えず匿う…匿う…あっ、向こうに！」
必死に抑えていたドアがガチャガチャと動き、鍵を掛けられることに気付いて鍵を掛け、直通の隣の部屋へ急いだ。
取り敢えず一息ついて、扉の方で動きがあるのを聞く。
千「おお明星に衣更！どうかしたのか？」
明「今ここに、えぇっと月永A先輩！来なかった！？」
千「南雲なら今駆け込んで来たが…」
衣「ありがとうございます！」
足音が遠ざかって行くのを聞きながら、思いっきりため息を吐いて脱力する。
不覚だ……
深「なにかありましたか？」
「奏汰〜……」
千「い、行ったぞ…？大丈夫かA？」
「どこも大丈夫じゃない…」
千秋に背中を摩られながら何も考えずに、ただ上がった息を整えた。
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年12月14日 3時
