７０: 偶然 ページ20
マフラーをぐるぐる巻きにして顔を埋め、ポケットに手を突っ込んで足早に病院への道を歩いた。
クリスマスに欲しいものを聞きがてら、今年は外食にすることの説得を頼むためだ。
寒いのはあんまり得意じゃないから、もう手が痛い…
大きくため息を吐いた時、正面から誰かにぶつかってよろけた。
「っと、すみませ……日和！」
日「いたた…Aくん前を見て歩こうね…」
前を向くと、尻餅をついた日和に青い髪のイケメンくんが押しつぶされていた。
怪我でもさせていたらどうしようかと、慌てて日和を引っ張り起こす。
「ごめん！大丈夫か２人とも！？」
日「どう見ても大丈夫じゃないねッ！」
上体だけ起こしてイケメンくんの上に乗っかったまま、日和が頬を膨らませる。当然イケメンくんは呻くわけで。
？「おひいさん早く退いてくださいよ…！」
日「ああジュンくん、ごめんね☆」
「ごめんイケメンくん！怪我は？大丈夫か！？」
？「イケメンくんって……大丈夫ですよ一応」
ため息を吐きながら立ち上がったイケメンくんが苦笑する。もう一度怪我が無いかを確認し、無事を確認してようやく息ができた。
改めて並んだ２人を見ると、どこか既視感がある。きっと街中に写真なんかが出回っているからだとは思うが…
一応と思って口を開いた。
「ほんとにごめんな。俺は月永A。えぇっと、ジュン、くん？」
漣「大丈夫なんで気にしないでくださいねぇ。初めまして、漣ジュンです」
「あ〜、なんか聞いたことある気が……あ、蛍が好きだって言ってたような…？Eveだっけ？」
そのまま２人で話していると、日和が俺たちの間に思い切り割り込んできた。
不服そうな表情の日和を軽く抱きしめて笑いながら誤ると簡単に許してくれるからチョロい奴だ。
日「Aくんは何してたの？」
「ああ、妹のお見舞いに行こうかと思って」
日「それならぼくも一緒に行くね♪ジュンくんも一緒に来るんだねっ！」
漣「いや無理っすよ…いきなり押し掛けたら失礼でしょ」
それは心配ないことを説明した上で日和に駄々を捏ねられれば断れるものも断れないだろう。
Eveは蛍が好きだと言っていたし、どうせなら来て欲しいところではある。
「予定が無いなら是非来てよ。妹も喜ぶから」
漣「今日のスケジュールは大体熟しましたけどねぇ…」
日「なら良いよね、ほら行くよジュンくん！」
日和の強引さに失笑しながら、病院へ歩いた。
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年12月14日 3時
