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71: 貴重な日 ページ21

「蛍、久し振り。お客さんが来てるよ」


蛍「お兄ちゃん!お客さ………っっっっ!!?」


「おー落ち着け〜w」


日「久し振りだね蛍ちゃん!」



Eveの2人を見た瞬間、蛍は両手で顔を覆って固まってしまった。その驚きように笑いながらも、ベッドの縁に腰掛ける。

2人が歩み寄ってくると、俺の服をぎゅうっと掴んで隠れてしまった。そっと引き離すと、服は掴んだままでようやく口を開く。



蛍「こんにちは…!」


漣「こんにちは。初めまして、漣ジュンって言います」


日「覚えてるかな?巴日和だよ!」


蛍「ぅぅうぅ……ファンです…!」



蛍の正面に屈んで視線を合わせてくれるジュンに、蛍がまた顔を隠して悶え始めた。それを見て優しく笑う2人は、俺から見てもカッコいい。

そういえばなんで蛍がEveを好きになったのかを俺は知らないなぁと思って問いかけると、何度か深呼吸して話し始めた。



蛍「手術の前に怖くて震えてたら、たまたまテレビでEdenを見て…まさか巴さんがアイドルだなんて思ってなかった………っぅぅぅ」


「ははっ、それで好きになったのか。そういえば日和を会わせたのは去年だっけ」


蛍「うん…次会えたらお礼言おうって決めてた…!」



泣きそうな笑顔を浮かべて、蛍が姿勢を正す。



蛍「私、皆さんに救われました。ありがとうございました…!」


漣「お礼言われるようなことじゃないっすよ」


巴「どういたしまして!ということで見て見て!ぼくたちの写真集だねっ」



それを覗き込んだ瞬間感極まって固まる蛍の頭を撫でる。

このところお見舞いに行けなかったから拗ねていないかと心配だったが杞憂だったらしい。

ベッド脇の椅子に腰掛ける、素敵なお見舞いの品を送ってくれた2人に感謝した。







結局義父さんを説得してもらう話も丸く収まり、クリスマスのプレゼントも承諾して、病室を出た。



漣「……嬉しいっすねぇ、ああいうのは」


巴「そうだね♪」


「2人ともありがとう。いつまで一緒に居られるか分からないから、今日みたいなのは貴重なんだ」



俺のセリフに、2人が目を丸くする。



巴「どういうことだね!?蛍ちゃんもしかして…」


「いや違う。これは……俺の問題なんだ」


漣「どういうことっすかぁ…?」



なんでもないと笑って誤魔化して、怪訝そうな表情をする2人を玲明学園まで送り届けた。

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2019年12月14日 3時

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